一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問122 (学科5(施工) 問22)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問122(学科5(施工) 問22) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋コンクリート造の建築物の耐震改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 鋼板巻き工法による柱補強工事において、鋼板の形状を角形とするに当たって、既存柱と鋼板の間のグラウト材の厚さは、特記がなかったので、10mmとした。
  • 独立した矩形柱の炭素繊維シートによる補強工事において、シートの水平方向のラップ位置については、構造的な弱点をなくすために、柱の同一箇所、同一面とならないようにした。
  • 接着系アンカーによるあと施工アンカーの穿孔(せんこう)作業において、アンカー筋がD13であったので、ビット径が15.0〜16.0mmのドリルを使用した。
  • 既存コンクリートの圧縮強度試験について、コアを壁厚の小さい部位から採取することになり、コア供試体の高さ(h)と直径(d)との比(h/d)が1.50となったので、試験で得られた補正前の圧縮強度に比(h/d)の数値に応じた補正係数を乗じて、直径の2倍の高さをもつ供試体の強度に換算した。

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

最も不適当なのは、「鋼板巻き工法による柱補強工事において、鋼板の形状を角形とするに当たって、既存柱と鋼板の間のグラウト材の厚さは、特記がなかったので、10mmとした。」です。

鋼板巻き工法では、既存柱の周囲に鋼板を取り付け、その隙間にグラウト材を充填して一体化します。このグラウト材の厚さは、特記がない場合は【20mm】とするのが標準です。したがって、10mmとした点が適切ではありません。公共建築改修工事の特記仕様書でも、鋼板巻き工法のグラウト材の厚さとして20mmが示されています。

選択肢1. 鋼板巻き工法による柱補強工事において、鋼板の形状を角形とするに当たって、既存柱と鋼板の間のグラウト材の厚さは、特記がなかったので、10mmとした。

この記述は不適当です。

鋼板巻き工法は、既存の柱を鋼板で囲み、柱と鋼板の隙間にグラウト材を充填して補強する工法です。

グラウト材は、既存柱と鋼板を一体として働かせるため、隙間に十分に行き渡らせる必要があります。そのため、特記がない場合の厚さは20mmとします。公共建築改修工事の特記仕様書でも、「グラウト材の厚さ 20mm」と示されています。

したがって、10mmとした点が適切ではありません。

選択肢2. 独立した矩形柱の炭素繊維シートによる補強工事において、シートの水平方向のラップ位置については、構造的な弱点をなくすために、柱の同一箇所、同一面とならないようにした。

この記述は適当です。

炭素繊維シートは、柱の周囲に巻き付けて柱の粘り強さやせん断耐力を高めるために使用します。

シートの継ぎ目であるラップ部分を同じ場所や同じ面に集中させると、その部分が構造上の弱点になりやすくなります。そのため、ラップ位置は柱の各面に分散させ、同じ面に集中しないようにずらして施工します。

国土交通省の「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」でも、水平方向のラップ位置は柱の各面に分散させ、同一面に集中しないようにずらして貼ることが原則とされています。

したがって、問題文の施工方法は適切です。

選択肢3. 接着系アンカーによるあと施工アンカーの穿孔(せんこう)作業において、アンカー筋がD13であったので、ビット径が15.0〜16.0mmのドリルを使用した。

この記述は適当です。

接着系あと施工アンカーは、コンクリートに孔をあけ、その孔に接着剤とアンカー筋を入れて固定します。

穿孔する孔が細すぎるとアンカー筋や接着剤を適切に入れられず、大きすぎると十分な付着力を得られないおそれがあります。そのため、使用するアンカー筋や接着剤の仕様に合ったビット径を使用します。

D13の異形鉄筋を用いる接着系アンカーでは、製品によって15〜16mm程度の穿孔径が指定されています。例えば、国土交通省のあと施工アンカーに関する実験でも、D13のアンカー筋に対してビット径16mmが使用されています。

したがって、15.0〜16.0mmのビットを使用することは適切です。

選択肢4. 既存コンクリートの圧縮強度試験について、コアを壁厚の小さい部位から採取することになり、コア供試体の高さ(h)と直径(d)との比(h/d)が1.50となったので、試験で得られた補正前の圧縮強度に比(h/d)の数値に応じた補正係数を乗じて、直径の2倍の高さをもつ供試体の強度に換算した。

この記述は適当です。

コンクリートの圧縮強度試験では、通常、コア供試体の高さを直径の約2倍にして試験します。

しかし、壁が薄い場合などは、十分な高さのコアを採取できないことがあります。この場合、高さと直径との比に応じて試験結果を補正します。

h/dが1.50の場合の補正係数は0.96です。試験で得られた圧縮強度にこの補正係数を掛けることで、高さが直径の2倍である供試体の強度に換算します。文部科学省の耐力度調査資料でも、h/dが1.50の場合の補正係数を0.96としています。

現在有効なJIS A 1107も、コンクリートから採取したコアの圧縮強度試験方法を定めています。

したがって、問題文の補正方法は適切です。

参考になった数2