一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問100 (学科4(構造) 問30)

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問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問100(学科4(構造) 問30) (訂正依頼・報告はこちら)

建築物の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 建築物に作用する荷重及び外力の性質には、いろいろな種類があり取扱いが難しいので、法規及び基規準は、荷重及び外力の数値を扱いやすいように便宜的に提示している。
  • 鋼材スクラップから再生した電炉材を適切に用いることは、建築物の資材製造段階の二酸化炭素排出量を削減する方法の一つである。
  • 平面が不整形な建築物をエキスパンションジョイントを用いて整形な建築物に分割すると、一般に、構造体の地震時の挙動が明確になるが、温度応力やコンクリートの乾燥収縮に対しては、不利になる。
  • 床の積載荷重や部材断面設計において、適度に余裕をもたせて設計することは、イニシャルコスト増となるが、一般に、建築物の寿命を延ばし、ライフサイクルコストの節減に結びつく。

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この過去問の解説 (1件)

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最も不適当なのは、「平面が不整形な建築物をエキスパンションジョイントを用いて整形な建築物に分割すると、一般に、構造体の地震時の挙動が明確になるが、温度応力やコンクリートの乾燥収縮に対しては、不利になる。」という記述です。

エキスパンションジョイントは、建築物を構造的に分離することで、複雑な形状による地震時の挙動を分かりやすくするために用いられます。また、温度変化による伸び縮みなどを吸収する役割もあります。

そのため、温度応力などに対して「不利になる」という説明は逆です。

選択肢1. 建築物に作用する荷重及び外力の性質には、いろいろな種類があり取扱いが難しいので、法規及び基規準は、荷重及び外力の数値を扱いやすいように便宜的に提示している。

この記述は適当です。

建築物には、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧力、地震力など、さまざまな荷重や外力が作用します。

実際の荷重や外力は、時間や場所、建築物の使われ方などによって変化するため、そのすべてを正確に予測して設計することは困難です。

そこで、法令や各種の基準では、建築物の安全性を確認できるように、設計で使用する荷重や外力の値、計算方法などを定めています。

実際の現象をそのまま表した数値というより、構造設計で安全性を確認しやすい形に整理された値として扱うことが大切です。

選択肢2. 鋼材スクラップから再生した電炉材を適切に用いることは、建築物の資材製造段階の二酸化炭素排出量を削減する方法の一つである。

この記述は適当です。

電炉材は、主に鉄スクラップを電気炉で溶かして再生した鋼材です。

鉄鉱石から新たに鉄をつくる高炉法では、鉄鉱石を還元する工程などで多くの二酸化炭素が発生します。一方、鉄スクラップを主原料とする電炉法は、高炉法と比べて製造時の二酸化炭素排出量を少なくできる利点があります。

国土交通省の資料でも、電炉鋼材は建築資材の製造段階における二酸化炭素排出量を削減する方法として示されています。

したがって、必要な性能を確認したうえで電炉材を適切に使用することは、建築物の環境負荷を小さくする方法の一つです。

選択肢3. 平面が不整形な建築物をエキスパンションジョイントを用いて整形な建築物に分割すると、一般に、構造体の地震時の挙動が明確になるが、温度応力やコンクリートの乾燥収縮に対しては、不利になる。

この記述は不適当です。

L字形などの不整形な建築物では、地震時に建物がねじれるなど、複雑な挙動が生じやすくなります。

そこで、エキスパンションジョイントによって建築物を複数の整形な部分に分離すると、それぞれを独立した構造体として扱いやすくなり、地震時の挙動も分かりやすくなります。

また、エキスパンションジョイントには、それぞれの建築物の部分がある程度自由に変形できるようにする働きがあります。

そのため、温度変化による膨張や収縮などによって生じる応力を小さくするうえでも有効です。

コンクリートの乾燥収縮による変形についても、建築物を分割することによって、その影響を小さくできる場合があります。

したがって、エキスパンションジョイントを設けることが「温度応力やコンクリートの乾燥収縮に対して不利になる」という説明は適切ではありません。

選択肢4. 床の積載荷重や部材断面設計において、適度に余裕をもたせて設計することは、イニシャルコスト増となるが、一般に、建築物の寿命を延ばし、ライフサイクルコストの節減に結びつく。

この記述は適当です。

イニシャルコストとは、建築物を最初につくるときに必要となる費用です。

一方、ライフサイクルコストとは、建設時の費用だけでなく、その後の維持管理、修繕、改修なども含めて、建築物を使い続ける期間全体で必要となる費用です。

積載荷重や部材断面に適度な余裕をもたせておけば、将来、建築物の用途や使い方が変わった場合にも対応しやすくなります。また、構造部材に過度な負担がかかることを防ぎ、建築物を長く使用できる可能性も高くなります。

最初の建設費は増える場合がありますが、長期間使用することで建替えや大規模な改修の回数を減らすことができれば、建築物の使用期間全体でみた費用の節減につながります。

 

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