一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問82 (学科4(構造) 問12)

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問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問82(学科4(構造) 問12) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋コンクリート構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 帯筋によるコンクリートの拘束の度合いが大きいほど、一般に、柱の軸方向圧縮耐力は大きくなり、最大耐力以降の耐力低下の度合いは緩やかになる。
  • 柱の断面算定において、コンクリートに対する鉄筋のヤング係数比nは、一般に、コンクリートの設計基準強度が高くなるほど小さな値となる。
  • 壁式構造の耐力壁では、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が同じ場合、一般に、壁板両端に柱があるラーメン構造の耐力壁に比べて、靱性は低下する。
  • 主筋間のあきが大きくなるほど、一般に、付着割裂強度は小さくなる。

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この過去問の解説 (1件)

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最も不適当なのは、「主筋間のあきが大きくなるほど、一般に、付着割裂強度は小さくなる。」という記述です。

鉄筋コンクリートでは、異形鉄筋の表面の凹凸がコンクリートに引っ掛かることで、鉄筋とコンクリートが一体となって力を伝えます。

このとき、鉄筋同士の間隔が狭いと、鉄筋から周囲のコンクリートへ伝わる力によって、鉄筋に沿ってコンクリートが割れやすくなります。これが付着割裂です。

したがって、主筋間のあきが大きくなると、一般に付着割裂に対する余裕が大きくなり、付着割裂強度は大きくなります。

選択肢1. 帯筋によるコンクリートの拘束の度合いが大きいほど、一般に、柱の軸方向圧縮耐力は大きくなり、最大耐力以降の耐力低下の度合いは緩やかになる。

この記述は適当です。

柱に大きな圧縮力が加わると、コンクリートは縦方向に縮むと同時に、横方向へ広がろうとします。

帯筋は、その横方向への広がりを外側から押さえる働きをします。

帯筋による拘束が強いほど、コンクリートが横へ広がりにくくなるため、コンクリートはより大きな圧縮力に耐えやすくなります。

また、最大耐力に達した後も急激に壊れにくくなり、変形しながら力を負担できます。

そのため、帯筋による拘束を強くすると、一般に柱の圧縮耐力が大きくなり、最大耐力を超えた後の耐力の低下も緩やかになります。

鉄筋コンクリート部材では、せん断破壊のような急激な破壊を避け、変形性能を確保することが重要とされています。

選択肢2. 柱の断面算定において、コンクリートに対する鉄筋のヤング係数比nは、一般に、コンクリートの設計基準強度が高くなるほど小さな値となる。

この記述は適当です。

ヤング係数比nは、鉄筋のヤング係数Esとコンクリートのヤング係数Ecの比で、

n=Es/Ec

と考えます。

鉄筋のヤング係数は、一般的な構造用鋼材ではほぼ一定です。

一方、コンクリートは、一般に圧縮強度が高くなるほどヤング係数も大きくなる傾向があります。コンクリートの設計基準強度が高くなると、分母となるEcが大きくなるため、

n=Es/Ec

の値は小さくなる方向になります。コンクリートのヤング係数と圧縮強度との関係については、構造設計でも考慮されています。

したがって、設計基準強度が高いコンクリートほど、一般にヤング係数比nは小さくなります。

選択肢3. 壁式構造の耐力壁では、曲げ降伏する時点の平均せん断応力度が同じ場合、一般に、壁板両端に柱があるラーメン構造の耐力壁に比べて、靱性は低下する。

この記述は適当です。

靱性とは、部材が降伏した後も、すぐに壊れずに変形しながら力を負担できる性質です。

ラーメン構造の耐力壁では、壁板の両端に柱があります。

この柱は、壁の端部を拘束するとともに、曲げによって生じる大きな圧縮力や引張力を負担します。そのため、壁の端部が壊れにくくなり、曲げ降伏した後も変形しながら耐力を保ちやすくなります。

一方、壁式構造の耐力壁は、ラーメン構造の耐力壁のような独立した両端柱をもたないため、同じ程度の平均せん断応力度で曲げ降伏するものを比べると、一般に変形性能は小さく、靱性は低くなります。

壁式構造では、耐力壁自体が建築物の主要な水平抵抗要素となるため、その耐力と変形性能を適切に確保することが重要です。

選択肢4. 主筋間のあきが大きくなるほど、一般に、付着割裂強度は小さくなる。

この記述は不適当です。

付着割裂とは、鉄筋からコンクリートへ力が伝わるときに、鉄筋の周囲のコンクリートにひび割れが広がり、鉄筋に沿って割れる破壊です。

主筋同士の間隔が狭いと、それぞれの鉄筋から周囲へ伝わる力の影響が重なりやすくなります。

そのため、鉄筋と鉄筋の間にあるコンクリートが割れやすくなり、付着割裂強度は低くなります。

反対に、主筋間のあきが大きくなると、鉄筋の周囲に十分なコンクリートを確保しやすくなるため、一般に付着割裂強度は大きくなります。

付着強度の評価でも、へりあきや鉄筋間隔が小さい場合には付着性能を低く評価する必要があるとされています。

したがって、

主筋間のあきが小さい
→付着割裂が起こりやすくなります。

主筋間のあきが大きい
→付着割裂が起こりにくくなります。

という関係です。

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