一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問49 (学科3(法規) 問9)

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問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問49(学科3(法規) 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

既存建築物の用途の変更に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
  • 建築基準法第3条第2項の規定により排煙設備の規定の適用を受けない「事務所」について、2以上の工事に分けて「集会場」とするための用途変更に伴う工事を行う場合、特定行政庁による工事に係る全体計画の認定を受けていれば、いずれの工事の完了後であっても、現行基準に適合するように排煙設備を設置するための改修を行う必要はない。
  • 延べ面積150m2、高さ10m、地上3階建ての「一戸建ての住宅(耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物)」を「旅館」に用途変更しようとする場合、有効かつ速やかに火災の発生を感知して報知できるものとする技術的基準に従って警報設備を設置すれば、主要構造部を耐火構造とする必要はない。
  • 建築物の用途を変更して一時的に「店舗」として使用する場合において、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして特定行政庁の許可を受けたものについては、内装の制限に関する規定は適用されない。
  • 「幼稚園」を「幼保連携型認定こども園」に用途変更する場合、原則として、その用途に供する居室及び当該居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路には、非常用の照明装置を設けなければならない。

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この過去問の解説 (1件)

01

誤っているのは、

「建築基準法第3条第2項の規定により排煙設備の規定の適用を受けない『事務所』について、2以上の工事に分けて『集会場』とするための用途変更に伴う工事を行う場合、特定行政庁による工事に係る全体計画の認定を受けていれば、いずれの工事の完了後であっても、現行基準に適合するように排煙設備を設置するための改修を行う必要はない。」

です。

既存不適格建築物について、用途変更に必要な改修を一度に行うことが難しい場合は、特定行政庁から「全体計画」の認定を受け、工事を複数回に分けて進めることができます。

ただし、これは改修そのものを永久に免除する制度ではありません。途中の工事では既存不適格の状態を残すことができますが、全体計画で改修することとした部分は、最終的には必要な基準に適合させる必要があります。国土交通省も、用途変更に伴う全体計画認定は、段階的に現行法の基準へ適合させていくための制度と説明しています。

選択肢1. 建築基準法第3条第2項の規定により排煙設備の規定の適用を受けない「事務所」について、2以上の工事に分けて「集会場」とするための用途変更に伴う工事を行う場合、特定行政庁による工事に係る全体計画の認定を受けていれば、いずれの工事の完了後であっても、現行基準に適合するように排煙設備を設置するための改修を行う必要はない。

この記述は誤りです。

古い建築物には、建築した当時は適法であったものの、その後の法改正によって現在の基準には合わなくなっているものがあります。この状態を「既存不適格」といいます。

事務所を集会場などへ用途変更すると、それまで適用されていなかった排煙設備などの規定が適用され、大規模な改修が必要になる場合があります。国土交通省も、既存不適格の事務所を会議場やイベントホールなどへ用途変更する場合、排煙設備の設置などが必要になる例を示しています。

このような改修を一度に行うことが難しい場合に利用できるのが、建築基準法第87条の2の全体計画認定です。

全体計画の認定を受ければ、途中の工事段階では、まだすべての改修が終わっていなくてもよい場合があります。

しかし、全体計画に係るすべての工事が終わった後には、その計画で適合させるべき規定について必要な改修を終えている必要があります。

したがって、「いずれの工事の完了後であっても、排煙設備を改修する必要はない」とする点が適切ではありません。

選択肢2. 延べ面積150m2、高さ10m、地上3階建ての「一戸建ての住宅(耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物)」を「旅館」に用途変更しようとする場合、有効かつ速やかに火災の発生を感知して報知できるものとする技術的基準に従って警報設備を設置すれば、主要構造部を耐火構造とする必要はない。

この記述は適当です。

ホテルや旅館は、宿泊者が就寝するため、火災時の安全性を高くする必要があります。

ただし、階数が3で、延べ面積が200m²未満の小規模なホテルや旅館については、一定の警報設備を設けることで、耐火建築物などとする規制が緩和されています。国土交通省も、3階建て・延べ面積200m²未満のホテルや旅館について、警報設備を設ければ耐火建築物等としなくてもよいと説明しています。

この建築物は、

延べ面積150m²
地上3階建て

なので、この規模の条件に当てはまります。

さらに、建築基準法施行令第110条の5では、どの室で火災が起きても、有効かつ速やかに火災を感知し、各階へ知らせることができる警報設備を設けることが求められています。

したがって、所定の警報設備を設ければ、主要構造部を耐火構造とする必要はありません。

なお、階段などの竪穴部分については、別途、防火上の措置が必要になる場合があります。

選択肢3. 建築物の用途を変更して一時的に「店舗」として使用する場合において、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして特定行政庁の許可を受けたものについては、内装の制限に関する規定は適用されない。

この記述は適当です。

建築物を恒久的ではなく、一時的に店舗などとして使用する場合には、一定の条件のもとで建築基準法の一部の規定を適用しない制度があります。

建築基準法第87条の3第6項では、建築物を一時的に店舗などとして使用する場合、特定行政庁が安全上、防火上、衛生上支障がないと認めて許可すれば、一定期間その用途で使用することができます。

この許可を受けた場合、建築基準法第35条の2の「特殊建築物等の内装」に関する規定は適用されません。

したがって、問題文の条件で一時的に店舗として使用する場合は、内装制限の規定は適用されません。

ただし、避難経路や排煙設備など、すべての防火・避難規定が免除されるわけではない点には注意が必要です。

選択肢4. 「幼稚園」を「幼保連携型認定こども園」に用途変更する場合、原則として、その用途に供する居室及び当該居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路には、非常用の照明装置を設けなければならない。

この記述は適当です。

非常用の照明装置は、停電や火災などで通常の照明が使えなくなったときでも、安全に避難できるようにするための設備です。

建築基準法施行令第126条の4では、一定の特殊建築物の居室と、そこから地上までの廊下や階段などに、原則として非常用の照明装置を設けることとしています。

幼稚園は、同条の適用除外となる「学校等」に含まれるため、原則として非常用の照明装置の設置対象から外れます。

一方、幼保連携型認定こども園は、3歳未満の子どもの保育も行うことなどから、この「学校等」から除かれています。

国の技術的助言でも、幼保連携型認定こども園については、排煙設備や非常用の照明装置などの規定を適用するため、「学校等」から除外したことが示されています。

したがって、幼稚園から幼保連携型認定こども園へ用途変更すると、原則として、その居室や地上までの避難経路に非常用の照明装置が必要になります。

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