一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問25 (学科2(環境・設備) 問5)
問題文
建築物における防火・防災に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
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問題
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一級建築士試験 令和8年(2026年) 問25(学科2(環境・設備) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
建築物における防火・防災に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 高層建築物の上階への延焼防止のためには、層間区画を十分に確保する必要があり、ファサードデザインに応じてバルコニーや庇等により対応する方法がある。
- 超高層建築物や医療福祉施設では、災害時に速やかに外部まで避難することが困難な場合が想定されるので、避難経路の途中又は途中階に一時的に待避できる空間を確保することが望ましい。
- 地下階がない建築物において、竪穴区画内の温度が屋外より高くなる冬期には、火災階が下階であるほど、竪穴区画への煙の侵入量が減少する傾向にある。
- 天井、壁等の内装材料を不燃化することは、火災時にフラッシュオーバーに至るまでの時間を長くするための対策として有効である。
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この過去問の解説 (2件)
01
最も不適当なのは、「地下階がない建築物において、竪穴区画内の温度が屋外より高くなる冬期には、火災階が下階であるほど、竪穴区画への煙の侵入量が減少する傾向にある。」という記述です。
冬期に建物内が屋外より暖かい場合、階段室やエレベーターシャフトなどの竪穴では、暖かい空気が上昇する「煙突効果」が生じます。
このとき、建物の下部では竪穴内へ空気を吸い込む方向の力が働きやすくなります。そのため、火災が下階で発生するほど、煙は竪穴区画へ入り込みやすくなる傾向があります。
したがって、「火災階が下階であるほど煙の侵入量が減少する」という部分は、傾向が反対です。冬期の煙突効果では、低層部から竪穴へ空気が入り、竪穴内を上昇して高層部へ流れる現象が生じます。
適当な記述です。
高層建築物で火災が発生すると、窓などの開口部から炎や高温の気流が外へ噴き出し、その上にある階へ延焼するおそれがあります。
そのため、上下階の間で火災が広がりにくくなるようにすることが重要です。
その方法として、上下階の開口部の間に十分な間隔を設けたり、バルコニーや庇などを張り出させたりする方法があります。
バルコニーや庇があると、下の階から噴き出した炎や高温の気流が、そのまま上階の開口部に届きにくくなります。
つまり、この記述は、外壁を通じた上階への延焼を防ぐための考え方として適切です。
適当な記述です。
超高層建築物では、上層階から地上まで避難するために長い距離を移動しなければなりません。
また、病院や高齢者施設などでは、自力で速く移動することが難しい人も利用しています。そのため、災害が発生したときに、全員が一度に建物の外まで避難できるとは限りません。
そこで、避難経路の途中や中間階などに、火や煙から守られながら一時的に待避できる場所を確保しておくことが有効です。
東京消防庁の高層建築物に関する基準でも、おおむね高さ100mを超える建築物では、中間階の機械室やバルコニーなどを火災時の一次避難場所として使用できるようにする考え方が示されています。
避難に時間がかかる建築物では、「すぐに全員を屋外へ出す」だけではなく、安全な場所へ段階的に避難する考え方も大切です。
不適当な記述です。
この記述では、「火災階が下階であるほど、竪穴区画への煙の侵入量が減少する」という部分が誤っています。
冬期に建物内部が屋外より暖かいと、階段室やエレベーターシャフトなどでは、暖かく軽い空気が上へ移動します。これを「煙突効果」といいます。
冬期の煙突効果では、建物の下部は空気を竪穴へ吸い込む方向になり、竪穴を上昇した空気は建物の上部から外へ出る方向になります。研究でも、寒い外気の条件では低層階で竪穴へ空気が流れ込み、高層階では竪穴から流れ出す圧力関係が示されています。
そのため、下階で火災が発生すると、煙が階段室やエレベーターシャフトなどへ引き込まれ、上方へ運ばれる危険性が高くなります。
東京消防庁などの研究でも、竪穴空間では煙突効果によって煙が上方へ速く移動することが確認されています。
したがって、この記述は「減少する」ではなく、「増加する傾向にある」と考えるのが適切です。
適当な記述です。
フラッシュオーバーとは、室内で火災が進み、天井や壁、家具などが強く加熱されることで、室内の多くの可燃物がほぼ一斉に燃え始める現象です。
フラッシュオーバーが起こると、室内の火災は急激に拡大し、温度も大きく上昇します。
天井や壁に燃えにくい材料を使用すると、内装そのものが火災を大きくすることを抑えられます。その結果、室内全体が急激に燃焼するフラッシュオーバーに至るまでの時間を遅らせる効果が期待できます。
消防庁の資料でも、フラッシュオーバーが起こるまでの時間には、室の形や内装材が不燃性か可燃性かなどが関係するとされています。
そのため、内装材料の不燃化は、火災の急激な拡大を抑えるための有効な対策です。
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02
この問題は、建築物の防火・防災計画(延焼防止、避難計画、煙の性状と煙突効果、内装制限と火災の進行速度)に関する正確な知識が問われています。
〇
層間区画とは、高層建築物で窓などの開口部から出た火炎や熱煙が、直上階の窓へ燃え移る(上階延焼)のを防ぐための対策です。垂れ壁を設けるほか、バルコニーや庇(ひさし)を張り出させるデザインにすることで、上方向へ昇る火炎を外側へ逃がし、上階への延焼を有効に防止できます。
〇
超高層建築物(階段での自力下降に時間がかかる)や医療福祉施設(自力避難が困難な要配慮者が多い)では、火災発生時に一気に地上(外部)まで避難しきれないケースがあります。そのため、安全な区画(耐火構造で煙が入らない空間)に一時的に全員を退避させ、段階的に避難を進める「一時待避空間(セーフティゾーン)」の確保が極めて有効です。
×
冬期は「建物内(竪穴区画)が暖かく、屋外が寒い」ため、上昇気流(いわゆる煙突効果)が非常に強く働きます。火災が発生した階が「下階(低層階)」であればあるほど、上昇しようとする強い気流の圧力を受けて、火災階の煙が階段室やエレベーターシャフトなどの竪穴区画の下層が低圧となって引き込まれやすくなり、煙の侵入量は増大(増加)します。
〇
フラッシュオーバーとは、室内の火災が進行し、壁や天井の可燃物、家具等から一気に可燃性ガスが吹き出して室内全体が爆発的に炎に包まれる現象です。内装材料(天井や壁)を不燃材料にすることで、室内の可燃物の量を減らし、発熱やガス発生を抑えてフラッシュオーバーに至るまでの時間を稼ぐ(遅らせる)ことができます。
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