一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問24 (学科2(環境・設備) 問4)

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問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問24(学科2(環境・設備) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

図は、冬期において、定常状態にある外壁A、Bの内部における温度分布を示したものである。次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、図中の外壁A、Bを構成する部材ア〜エの各材料と厚さ、室内外の温度、対流、熱放射等の条件は、それぞれ同じものとする。
問題文の画像
  • AとBの熱貫流率は等しい。
  • イの熱容量が大きい場合、Bは、Aに比べて、暖房を開始してから設定温度に達するまでに時間を要する。
  • ウは、イに比べて、熱伝導率が大きい。
  • 冬期における内部結露を防ぐための防湿層を設ける場合、A、Bともに、ウより室内側に設ける必要がある。

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この過去問の解説 (2件)

01

最も不適当なのは、「ウは、イに比べて、熱伝導率が大きい。」です。

図を見ると、外壁A、Bともに、部材ウでは厚さに対する温度変化が大きく、部材イでは温度変化が小さくなっています。定常状態では、同じ熱が各部材を順番に通過するため、温度変化の傾きが大きい材料ほど熱を伝えにくく、熱伝導率は小さくなります。

したがって、この図からは、ウの熱伝導率はイより小さいと判断できます。問題の図では、Aは屋外側から「ア→イ→ウ→エ」、Bは「ア→ウ→イ→エ」の順に並んでいます。

選択肢1. AとBの熱貫流率は等しい。

この記述は適当です。

熱貫流率は、壁全体がどのくらい熱を通しやすいかを表す値です。

壁を構成する各部材の熱抵抗は、材料の熱伝導率と厚さによって決まります。そして、壁全体の熱抵抗は、それぞれの部材の熱抵抗を足し合わせて求めます。

AとBでは、イとウの並ぶ順番は反対になっていますが、使用している部材の材料と厚さはすべて同じです。また、問題文では室内外の温度や対流、熱放射などの条件も同じとされています。

つまり、

A:ア+イ+ウ+エ

B:ア+ウ+イ+エ

となり、順番が変わっても熱抵抗の合計は変わりません。

そのため、壁全体の熱の通しやすさを表す熱貫流率も同じになります。

選択肢2. イの熱容量が大きい場合、Bは、Aに比べて、暖房を開始してから設定温度に達するまでに時間を要する。

この記述は適当です。

図から、ウは熱を伝えにくい部材であり、断熱材に相当する性質をもっていることが分かります。

Aでは、室内側から見ると、

室内→エ→ウ→イ

の順になっており、熱容量の大きいイと室内との間に、熱を伝えにくいウがあります。

一方、Bでは、

室内→エ→イ→ウ

の順となり、熱容量の大きいイはウより室内側にあります。

熱容量が大きい材料は、温度を上げるために多くの熱を必要とします。そのため、Bでは暖房を始めると、室内だけでなく、室内側にあるイにも多くの熱が蓄えられます。

Aでは、イと室内との間にウがあるため、暖房開始直後にはイの大きな熱容量の影響を受けにくくなります。

したがって、イの熱容量が大きい場合、Bのほうが設定温度に達するまでに時間がかかります。外断熱では構造体の熱容量を室内側で利用するため、暖房開始時の立ち上がりが遅くなる性質も知られています。

 

選択肢3. ウは、イに比べて、熱伝導率が大きい。

この記述は不適当です。

熱伝導率は、材料がどのくらい熱を伝えやすいかを表す値です。

熱伝導率が大きい材料は熱を伝えやすいため、同じ厚さであれば、その部分で生じる温度差は小さくなります。

反対に、熱伝導率が小さい材料は熱を伝えにくいため、その部分で大きな温度差が生じます。

図を見ると、イでは厚さに対する温度変化が比較的小さいのに対して、ウでは温度が大きく変化しています。AでもBでも同じ特徴が確認できます。

したがって、

ウは熱を伝えにくい
↓
ウの熱伝導率は小さい

と判断できます。

つまり、正しい関係は「ウは、イに比べて、熱伝導率が小さい」です。

選択肢4. 冬期における内部結露を防ぐための防湿層を設ける場合、A、Bともに、ウより室内側に設ける必要がある。

この記述は適当です。

冬は、一般に室内のほうが屋外より温度が高く、水蒸気も室内側から壁の内部へ入り込もうとします。

その水蒸気が壁の冷たい部分まで入り込むと、温度が露点を下回り、壁の内部で結露することがあります。これが内部結露です。

この図では、ウは熱を伝えにくい断熱層に当たります。そのため、室内の水蒸気がウの内部やその屋外側へ入り込まないよう、防湿層はウより室内側に設けるのが基本です。

国土交通省の断熱施工に関する資料でも、冬期の内部結露を防ぐため、断熱層の室内側に水蒸気を通しにくい防湿層を設けることが基本とされています。

Aでは、ウのすぐ室内側にエがあります。

Bでは、ウより室内側にイとエがあります。

部材の順番は違っていても、防湿層をウより室内側に設けるという考え方は共通です。

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02

この問題は、外壁の定常状態における温度分布、熱貫流率、熱伝導率、蓄熱特性(熱容量)、および内部結露を防ぐための防湿層の設置位置に関する正確な知識が問われています。 図のAとBの違いはイとウが入れ替わっているところです。

選択肢1. AとBの熱貫流率は等しい。

〇

熱貫流率とは、建物の壁や窓などの部材を挟んで、室内と室外の間でどのくらい熱が移動しやすいかを表す数値です。室内と室外の温度を表すθoとθrは、AもBも同じ温度です。構成している部材の材料とそれぞれの厚さがまったく同じで、その並び順を変えているだけなので、壁全体としての熱貫流率も等しくなります。

選択肢2. イの熱容量が大きい場合、Bは、Aに比べて、暖房を開始してから設定温度に達するまでに時間を要する。

〇

熱容量とは、物体全体の温度を1K(または1℃)上昇させるのに必要な熱量のことです。熱容量が大きい物体ほど、同じ熱量を受け取っても温度が変わりにくく(温まりにくく、冷めにくい)、熱容量が小さい物体ほど温度が変わりやすい性質があります。

温度分布のグラフを見ると、部材ウの区間で温度が大きく下がっている(室内側と室外側で温度差が大きい)ことから、ウは断熱材などの熱抵抗が大きい部材であることがわかります。外壁Aでは断熱層(ウ)が室内側にあり、熱容量の大きい部材(イ)が外側寄り(外断熱に近い構造)です。外壁Bでは断熱層(ウ)が屋外側にあり、熱容量の大きい部材(イ)が室内側寄り(内断熱に近い構造)です。内断熱(外壁B)のように、室内側に熱容量の大きい部材(イ)が存在する場合、暖房を開始してもその部材自体が温まるまでに熱が吸収されてしまうため、室温が設定温度に達するまでに時間がかかります。

選択肢3. ウは、イに比べて、熱伝導率が大きい。

×

熱伝導率とは、物質(素材そのもの)の内部における「熱の伝えやすさ」を表す物理量です。ちなみに熱貫流率は室内と室外の間(外壁材・内壁材・断熱材・ガラス等を含む)でどのくらい熱が移動しやすいかを表す数値です。 図を見ると、ウはイに比べて温度が大きく変化しています。つまり、室内側が熱く室外側が冷たいのでウが熱を堰き止めていて、断熱材の役割を果たしていると言えます。ゆえに部材ウは部材イに比べて熱伝導率は「小さい(熱を伝えにくい)」となります。

選択肢4. 冬期における内部結露を防ぐための防湿層を設ける場合、A、Bともに、ウより室内側に設ける必要がある。

〇

内部結露とは、住宅の壁の内部、床下、天井裏といった目に見えない場所で発生する結露のことです。結露が発生する原因として、大きな温度差・高い湿度・空気の対流が挙げられます。 ここで防湿層によって内部結露を防ぐということは、室内の湿気(高い湿度)を遮断するということです。遮断する場所は温度変化が大きくなる前(断熱材の前)に入れます。ゆえに、A、Bともにウより室内側に設ける必要があります。

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