一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問22 (学科2(環境・設備) 問2)

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問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問22(学科2(環境・設備) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

温熱環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 体表面積当たりの代謝量の基準となる1metは、睡眠時の代謝量に相当する。
  • WBGTによる暑熱環境の評価では、日射のある屋外と日射のない室内で異なる算定式を用いる。
  • 予測平均温冷感申告(PMV)は、性別、年齢等の違いを考慮した個々人の温冷感の予測には不向きである。
  • 標準新有効温度(SET*)は、空気温度、平均放射温度、相対湿度、気流速度、着衣量、代謝量から求められる。

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この過去問の解説 (2件)

01

最も不適当なのは、「体表面積当たりの代謝量の基準となる1metは、睡眠時の代謝量に相当する。」です。

metは、人がどの程度の活動をしているかを、体から発生する熱の量をもとに表す単位です。

1metは、安静に座っている状態の代謝量に相当し、約58.2W/m²です。

睡眠時の代謝量はこれより小さく、一般に約0.7metとされます。したがって、1metを睡眠時の代謝量としている点が誤りです。ASHRAEの資料でも、睡眠は0.7met、安静に座っている状態は1.0metとされています。

選択肢1. 体表面積当たりの代謝量の基準となる1metは、睡眠時の代謝量に相当する。

この記述は不適当です。

metは、人の活動によって体内で生じる熱の量を表すための単位です。

1metは、安静に座っている状態の代謝量を基準とした値です。

具体的には、1metは約58.2W/m²に相当します。ASHRAEの資料では、代表的な活動量として次のような違いが示されています。

睡眠:約0.7met

横になっている状態:約0.8met

安静に座っている状態:約1.0met

したがって、睡眠時を1metとすることはできません。

選択肢2. WBGTによる暑熱環境の評価では、日射のある屋外と日射のない室内で異なる算定式を用いる。

この記述は適当です。

WBGTは、熱中症の危険性を判断するためなどに使われる「暑さ指数」です。

WBGTを計算するときは、太陽から直接日射を受ける場所と、日射を受けない場所とでは条件が異なるため、計算式も変わります。

厚生労働省では、次のように区別しています。

屋内または屋外で太陽照射がない場合は、自然湿球温度と黒球温度を使います。

屋外で太陽照射がある場合は、それらに加えて乾球温度も使います。

これは、屋外で直射日光を受ける場合には、空気の温度だけでなく、太陽から受ける熱の影響が大きくなるためです。

選択肢3. 予測平均温冷感申告(PMV)は、性別、年齢等の違いを考慮した個々人の温冷感の予測には不向きである。

この記述は適当です。

PMVは、ある温熱環境にいる多くの人が「暑い」「寒い」「ちょうどよい」などと、平均的にどのように感じるかを予測する指標です。

PMVでは、主に次の6つの要素を使います。

空気温度

平均放射温度

湿度

気流速度

着衣量

代謝量

ISO 7730では、PMVを人々の平均的な温冷感を評価するための指標として扱っています。ASHRAEでも、PMVは6つの温熱要素から、人々の平均的な反応を予測するモデルとされています。

一方、同じ部屋にいても、暑さや寒さの感じ方には個人差があります。PMVは、性別や年齢などを直接入力して一人ひとりの感覚を予測する仕組みではありません。

そのため、特定の一人について細かく温冷感を予測する用途には向いていません。

選択肢4. 標準新有効温度(SET*)は、空気温度、平均放射温度、相対湿度、気流速度、着衣量、代謝量から求められる。

この記述は適当です。

SET*は、人が感じる温熱環境を一つの温度として表すための指標です。

温熱環境は、単に室温だけで決まるものではありません。

たとえば、同じ室温でも、

周囲の壁や窓からどれくらい熱を受けるか

湿度が高いか低いか

風が強いか弱いか

厚着か薄着か

座っているか運動しているか

などによって、人の暑さや寒さの感じ方は変わります。

そのためSET*では、空気温度、平均放射温度、相対湿度、気流速度、着衣量、代謝量という6つの要素をもとに評価します。ASHRAEでも、温熱環境を考える主要な要素として、温度、放射、湿度、気流という環境側の4要素と、着衣量、代謝量という人体側の2要素を示しています。

SET*は、実際の環境で人体が受ける温熱的な影響を、標準的な環境の温度に置き換えて表す指標です。

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02

この問題は、温熱環境の評価指標の定義や算出方法、適用範囲に関する正確な知識が問われています。
 

選択肢1. 体表面積当たりの代謝量の基準となる1metは、睡眠時の代謝量に相当する。

×

metとは、身体活動の強度を示す単位で、1 metとは、安静時に椅子に座ってじっとしている状態(安静座位)の代謝量(約 58.2 W/m²)を基準としたものです。睡眠中の代謝量は身体の活動レベルがさらに下がるため、1 met ではなく 約 0.8 met 程度 となります。

 

選択肢2. WBGTによる暑熱環境の評価では、日射のある屋外と日射のない室内で異なる算定式を用いる。

〇WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)とは、日本語で湿球黒球温度のことで、熱中症などを防ぐための暑さ指数です。WBGTの基準値と状態は以下の通りです。

21未満:ほぼ安全

21以上25未満:注意

25以上28未満:警戒

28以上31未満:厳重警戒

31以上:危険 

日射のある屋外では、湿球温度・黒球温度・乾球温度の3つを組み合わせて算出します。日射のない室内・屋外では、太陽光の影響が少ないため、湿球温度と黒球温度の2つをベースにした異なる式で算出します。

選択肢3. 予測平均温冷感申告(PMV)は、性別、年齢等の違いを考慮した個々人の温冷感の予測には不向きである。

〇

予測平均温冷感申告(PMV)とは、温熱環境の6要素(空気温度・放射温度・相対湿度・気流速度・着衣量・代謝量)から「多くの人(集団)の平均的な温冷感」を予測するための指標です。あくまで集団の平均値を対象としているため、個人の性別、年齢、代謝の個人差、その人の体質(暑がり・寒がりなど)による「個々人の温冷感」をピンポイントで予測するのには不向きです。関連して、予測不満足率(PPD)という「その環境に不満足と感じる人」が何%いるかを予測する指標があり、PMVと組み合わされて使われます。ISOにおいては、-0.5<PMV<+0.5に収まり、かつ、PPDが10%未満となる温熱環境を推奨しています。

選択肢4. 標準新有効温度(SET*)は、空気温度、平均放射温度、相対湿度、気流速度、着衣量、代謝量から求められる。

〇

標準新有効温度(SET*:Standard Effective Temperature)とは、温熱環境の6要素(空気温度・放射温度・相対湿度・気流速度・着衣量・代謝量)を考慮して、人間の暑さ・寒さの体感を1つの温度の数値で表した温熱環境指標です。

例えば、室温が26℃で湿度が80%で無風の状態だとすると、蒸し暑くて汗が乾かず、まるで「30℃」くらいに感じます。このときの SET* ≒ 30℃ です。対して、室温が26℃で湿度が30%で扇風機の風があるとすると、汗がサラッと乾いて涼しく、まるで「22℃」くらいに感じます。このときの SET* ≒ 22℃ です。他にも着衣量や代謝量によって数値は変動します。

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