一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問21 (学科2(環境・設備) 問1)

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問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問21(学科2(環境・設備) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

環境工学における用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • clo(クロ)値とは、着衣による熱抵抗を表す指標であり、何も着ていないときで0clo、標準的なビジネススーツ姿で1clo程度となる。
  • ブーミング現象とは、音が周期的に反射を繰り返す現象であり、室内の天井面と床面とが平行で、両面を硬い反射材料で仕上げたときに生じやすい。
  • 照度均斉度とは、照度の分布を表す指標であり、視作業面の最小照度を平均照度又は最大照度で除した値で表される。
  • クロルピリホスとは、主に防蟻剤として用いられる揮発性有機化合物であり、原則として、居室を有する建築物にこれを添加した建築材料を使用することはできない。

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この過去問の解説 (2件)

01

最も不適当なのは、「ブーミング現象とは、音が周期的に反射を繰り返す現象であり、室内の天井面と床面とが平行で、両面を硬い反射材料で仕上げたときに生じやすい。」という記述です。

平行で音をよく反射する二つの面の間を、音が何度も往復して反射する現象は「フラッターエコー」です。

これに対してブーミングは、室内の低い周波数の音が定在波などによって強調され、特定の低音が「ボーン」と響いたり、こもって聞こえたりする現象です。

したがって、この記述はブーミングとフラッターエコーを取り違えています。日本建築学会の音環境設計資料でも、硬い平行面で規則的な反射が繰り返される現象をフラッターエコーとしています。

選択肢1. clo(クロ)値とは、着衣による熱抵抗を表す指標であり、何も着ていないときで0clo、標準的なビジネススーツ姿で1clo程度となる。

適当な記述です。

clo値は、衣服が体から熱を逃がしにくくする程度、つまり「衣服の断熱性」を表す指標です。

値が大きいほど厚着で熱を逃がしにくく、値が小さいほど薄着になります。

衣服を着ていない状態は0cloを基準とし、冬季の一般的なスーツ姿はおよそ1cloとされています。日本建築学会の論文でも、冬季の標準的な背広は約1cloとされています。

また、1cloの熱抵抗は約0.155m²・K/Wに相当します。

温熱環境を考えるときは、気温だけでなく、衣服の量も人が暑い・寒いと感じる程度に大きく関係します。

選択肢2. ブーミング現象とは、音が周期的に反射を繰り返す現象であり、室内の天井面と床面とが平行で、両面を硬い反射材料で仕上げたときに生じやすい。

不適当な記述です。

この説明に当てはまるのは「ブーミング」ではなく、「フラッターエコー」です。

フラッターエコーは、向かい合う壁、床と天井などが平行で、しかも音をよく反射する硬い材料で仕上げられている場合に起こりやすくなります。

音が一方の面で反射し、反対側の面でも反射するという動きを何度も繰り返すため、短い間隔で反射音が連続して聞こえます。日本建築学会の資料でも、硬い平行壁面などで規則的な反射が繰り返されることでフラッターエコーが発生すると説明されています。

一方、ブーミングは、室内の共鳴や定在波などによって特定の低い周波数の音が強くなる現象です。そのため、低音だけが必要以上に響き、音がこもって聞こえることがあります。

整理すると、

フラッターエコー
→ 平行な硬い面の間で音が繰り返し反射する現象

ブーミング
→ 特定の低音が強く響く現象

となります。

選択肢3. 照度均斉度とは、照度の分布を表す指標であり、視作業面の最小照度を平均照度又は最大照度で除した値で表される。

適当な記述です。

照度均斉度は、ある面がどれくらいむらなく照らされているかを表す指標です。

一般的には、

最小照度 ÷ 平均照度

によって求めます。JISに基づく照明設計の説明でも、作業領域などの平均照度に対する最小照度の比が照度均斉度とされています。

また、最小照度と最大照度の比を使って表す場合もあります。

例えば、最も暗い場所が300lx、平均が500lxなら、

300 ÷ 500 = 0.6

となります。

値が1に近いほど、明るい場所と暗い場所との差が小さく、照明のむらが少ないことを意味します。

選択肢4. クロルピリホスとは、主に防蟻剤として用いられる揮発性有機化合物であり、原則として、居室を有する建築物にこれを添加した建築材料を使用することはできない。

適当な記述です。

クロルピリホスは、有機リン系の殺虫剤で、以前はシロアリを防ぐ防蟻剤などとして使用されていました。

クロルピリホスは人の健康に悪影響を与えるおそれがあるため、建築基準法によるシックハウス対策の対象となっています。

現在の建築基準法では、居室を有する建築物について、クロルピリホスを添加した建築材料の使用は禁止されています。国土交通省も、建築基準法施行令第20条の6による規制として、この使用禁止を示しています。

なお、化学物質を沸点によって細かく分類すると、クロルピリホスは「半揮発性有機化合物(SVOC)」に分類される資料もあります。千葉県のシックハウス対策資料では、沸点約320℃のクロルピリホスをSVOCの範囲に示しています。

ただし、この記述の中心となる「防蟻剤として使われていたこと」と「居室を有する建築物では、これを添加した建築材料を使用できないこと」は適切です。

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02

この問題は、環境工学の主要な4分野(熱・音・光・空気)における、着衣熱抵抗(clo値)の指標や評価、音響現象の本質的なメカニズム、照度均斉度の定義や計算式の意味、および建築基準法における化学物質の法規制に関する正確な知識が問われています。

選択肢1. clo(クロ)値とは、着衣による熱抵抗を表す指標であり、何も着ていないときで0clo、標準的なビジネススーツ姿で1clo程度となる。

〇

clo(クロ)値は、着衣の断熱性(熱抵抗)を表す単位です。クローゼットのクロと覚えると分かりやすいです。全裸の状態が 0clo、標準的なビジネススーツ(冬用のスリーピース等)を着た状態が 1clo と定義されています。

選択肢2. ブーミング現象とは、音が周期的に反射を繰り返す現象であり、室内の天井面と床面とが平行で、両面を硬い反射材料で仕上げたときに生じやすい。

×

ブーミング現象とは、部屋の寸法と低音の波長がピタッと一致して起きる「共鳴(定常波)」が現象の主役です。特定の低い音だけが部屋の中でエネルギーを増し、「ボワンボワン」とこもって聞こえます。問題文の説明はフラッターエコーであり、平行な硬い反射面の間で、音がピンボールのように「周期的に反射を繰り返すこと」自体が現象の主役です。これが起きると、手拍子などが「ビーン」「キーン」と金属的なエコーになって響きます。
厳密に言えば、ブーミング現象が起きる室内でも、音波が平行面の間を物理的に反射(往復)をしていますが、それが直接的な原因ではありません。しかし、本肢が不適当とされる理由は、ブーミング現象の本質を説明しているのではなく、まったく別の現象である「フラッターエコー」の核心(特徴)をそのまま流用してしまっているからです。キーワードとして、ブーミング現象は「共鳴」、フラッターエコーは「反射」です。

選択肢3. 照度均斉度とは、照度の分布を表す指標であり、視作業面の最小照度を平均照度又は最大照度で除した値で表される。

〇

度均斉度とは、作業面における明るさ(照度)のムラのなさ(均一性)を示す指標です。計算式は、
照度均斉度=最小照度/最大照度
です。照度均斉度が0に近づくと明るいところと暗いところの差が大きくなり、1に近づくと満遍なく明るい状態になります。
例えばレーザーポインタだと照度均斉度は限りなく0になり、照明器具をたくさん用いれば照度均斉度は1に近づきます。

 

 

選択肢4. クロルピリホスとは、主に防蟻剤として用いられる揮発性有機化合物であり、原則として、居室を有する建築物にこれを添加した建築材料を使用することはできない。

〇

クロルピリホスとは、木造住宅のシロアリ駆除などの防蟻剤(ぼうぎざい)や、木材の防腐剤として広く使われていた揮発性有機化合物の一種です。2000年前後、気密性の高い現代の住宅において、これらの化学物質が室内に揮発・充満し、住人の目がチカチカする、頭痛がする、吐き気がするといった「シックハウス症候群」を引き起こす社会問題となりました。これを受けて2003年(平成15年)に建築基準法が改正され、ホルムアルデヒドとともにクロルピリホスは原則として居室を有する建築物への使用が全面禁止(建築材料への添加禁止)となりました。

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