一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問20 (学科1(計画) 問20)
問題文
建築のマネジメント等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
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問題
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一級建築士試験 令和8年(2026年) 問20(学科1(計画) 問20) (訂正依頼・報告はこちら)
建築のマネジメント等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ISO9000シリーズは、成果物の規格ではなく、品質管理を実施するための仕組みに関する規格であり、責任と権限を明確にし、組織が行う手順やルールを明示し、文書として記録することが求められる。
- LCA(Life Cycle Assessment)は、建築物を構成する各部材・設備の製造・施工・使用・解体に至るまでの建築物のライフサイクル全体における環境負荷を評価するものである。
- 建築のサプライチェーンマネジメントは、部材の製造から製品の消費者への供給、その使用、さらに廃棄・回収、再利用に至るまでの全サイクルの物の流れなどを合理化する取組みである。
- VE(Value Engineering)は、適切なコストで必要な機能を達成するための手法であり、プロジェクトの初期よりも実施設計完了後に行ったほうが、効果的な代替案の提案や変更コストの抑制に有効である。
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この過去問の解説 (2件)
01
最も不適当なのは、「VE(Value Engineering)は、適切なコストで必要な機能を達成するための手法であり、プロジェクトの初期よりも実施設計完了後に行ったほうが、効果的な代替案の提案や変更コストの抑制に有効である。」です。
VEは、建築物に必要な機能や性能を保ちながら、よりよい方法や材料などを検討して、価値を高めるための手法です。
VEは実施設計が終わってから行うよりも、計画や設計の初期段階で行うほうが効果的です。初期段階であれば設計の自由度が高く、大きな変更もしやすいためです。また、設計が進んだ後に変更すると、図面の修正や他の部分との調整が必要となり、変更にかかる費用も大きくなります。
ASTMのVEに関する規格でも、VEはできるだけ早い段階で実施することが望ましく、特に設計の初期段階で効果が高いとされています。
この記述は適当です。
ISO9000シリーズは、製品そのものの寸法や性能を定める規格ではなく、組織が品質を適切に管理するための「品質マネジメントシステム」に関する規格です。
たとえば、誰がどの仕事に責任をもつのかを明確にしたり、仕事の進め方を管理したり、必要な情報を記録したりする仕組みを整えます。
現在のISO 9001でも、組織の役割、責任、権限を明確にすることや、品質マネジメントシステムに必要な文書化した情報を管理することが求められています。
ただし、すべての作業手順を必ず細かく文書化するという意味ではありません。組織や業務に応じて、品質管理に必要な情報を適切に文書化して管理します。
この記述は適当です。
LCAは、製品や建築物について、一部分だけを見るのではなく、その一生を通して環境にどの程度の負担を与えるかを評価する考え方です。
建築物では、たとえば、
材料や設備を製造する段階
建設現場で施工する段階
建築物を使用する段階
修繕や更新を行う段階
最後に解体・廃棄・再利用する段階
などを総合して考えます。
ISO 14040でも、LCAはライフサイクル全体を対象として環境への影響を評価するための考え方として定められています。
この記述は適当です。
サプライチェーンは、原材料や部材をつくるところから、建築物に使用し、最終的に廃棄や再利用を行うところまでのつながりを指します。
サプライチェーンマネジメントでは、この一連の流れについて、必要な物を必要な時期に効率よく供給したり、在庫や輸送のむだを減らしたりすることを目指します。
建築分野では、資材の製造、運搬、施工、使用だけでなく、解体後の回収や再資源化まで含めて物の流れを考えることも重要になっています。建設資材についても、解体後に回収して再び利用する資源循環の取組みが進められています。
この記述は不適当です。
VEは、必要な機能や性能を保ちながら、材料、構造、設備、施工方法などについて別の方法を検討し、より高い価値を得るための手法です。
「必要な機能を適切なコストで実現する」という前半の考え方は問題ありません。
誤っているのは、「プロジェクトの初期よりも実施設計完了後に行ったほうが効果的」という部分です。
VEは、計画や設計の初期段階で実施するほうが効果を得やすくなります。初期段階では、まだ設計内容が固まっていないため、建物の形、構造方式、設備方式、材料などについて幅広い代替案を検討できます。
一方、実施設計が完了した後では、多くの設計内容がすでに決まっています。この段階で大きな変更をすると、図面を書き直したり、構造や設備など他の設計との調整をやり直したりする必要があります。
そのため、設計が進むほど変更できる範囲は小さくなり、変更に必要な費用や手間は大きくなる傾向があります。
ASTMのVEに関する規格でも、最も効果的なVEの実施時期は設計の初期段階であり、この時期なら大規模な再設計を避けながら変更できるとされています。
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02
この問題は、建築プロジェクトにおける各種マネジメント手法の定義と目的、ならびにVEを実施する最適な時期とコスト削減効果の関係についての正確な知識が問われています。
ISOとは、「International Organization for Standardization(国際標準化機構)」の略称で、国際的な基準を定めています。問題文のISO9000とは、製品やサービスの「品質マネジメントシステム」に関する国際規格の総称であり、製品そのものではなく、製品を作るための仕組み(手順やルール)を規格したものになります。ゆえに問題文にあるように責任・権限の明確化や、業務手順の文書化・記録が求められます。
LCA(Life Cycle Assessment)とは、Life Cycle(一生涯)Assessment(評価)という一生涯にかかる環境負荷を定量的に評価するという意味です。建築物だと、建築資材の調達・製造、施工、完成してからの運用、改修、解体・廃棄・リサイクルまでを一生と考え、これら全体における環境負荷(エネルギー消費量やCO2排出量など)を定量的に評価する手法です。
サプライチェーンマネジメントとは、Supply(供給)Chain(一連)Management(管理)という、原材料や部材の調達(製造)から、施工・消費者への供給、使用、廃棄・回収、再利用に至るまでの一連の「モノと情報の流れ(供給連鎖)」全体を一体的に管理・最適化し、効率化やコスト削減を図る取組みです。目的として、工期の短縮、在庫・コストの削減・生産性の向上・脱炭素などが挙げられます。
VE(Value Engineering)とは、Value(価値)Engineering(工学)という、品質や必要な機能を維持(または向上)したまま、工法や建材を工夫してコストを下げる手法です。一般的に、設計の初期段階や基本設計段階で行うほど、設計変更の自由度が高くコスト削減効果も大きくなります。逆に、実施設計完了後(工事着手直前など)になってからでは、変更に伴う手戻りコストが大きくなり、効果的な代替案の提案や変更コストの抑制は困難になります。
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