一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問16 (学科1(計画) 問16)

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問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問16(学科1(計画) 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

医療施設の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • ICU(Intensive Care Unit)は、個室を原則とし、人や機器の出入りが多い手術部とは離すなど、集中して治療を行うことができる配置計画が重要である。
  • 放射線治療部門の照射室は、放射線による治療装置(リニアック等)を使用するので、壁や天井等のコンクリート厚さを確保し、鋼板を組み合わせた遮蔽壁等を設けるなど、放射線の漏洩(ろうえい)を防ぐ対策が必要となる。
  • 感染症病室は、個室を原則とし、廊下に対して室内を陰圧に保ち、汚染空気が室外に流出しないよう、出入口に前室を設けるなどの配慮が重要である。
  • 精神科病院又は総合病院の精神科病棟の保護室は、患者の自傷行為を防ぐため、床や壁に柔らかい材料等を用い、窓側には観察廊下を設けるなどの設えが必要となる。

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この過去問の解説 (2件)

01

最も不適当なのは、「ICU(Intensive Care Unit)は、個室を原則とし、人や機器の出入りが多い手術部とは離すなど、集中して治療を行うことができる配置計画が重要である。」です。

ICUは、重い病気や大きな手術の後など、特に注意深い治療や観察が必要な患者を受け入れる場所です。そのため、手術部や救急部などとの患者搬送をできるだけ短くすることが重要です。

日本集中治療医学会の「集中治療部設置のための指針 2022年改訂版」でも、集中治療部は救急部、手術部、放射線部などと近接していることが望ましいとされています。したがって、「手術部とは離す」とする部分が不適当です。

また、現在のICUでは感染対策やプライバシーなどのために個室化が進んでいますが、すべての病床を個室とすることだけが、この選択肢を判断するポイントではありません。ここでは、手術部から離すという配置計画に大きな問題があります。

選択肢1. ICU(Intensive Care Unit)は、個室を原則とし、人や機器の出入りが多い手術部とは離すなど、集中して治療を行うことができる配置計画が重要である。

この記述は不適当です。

ICUでは、重症患者の状態が急に変化したり、手術後の患者をすぐに受け入れたりすることがあります。そのため、患者を長い距離移動させなくて済むように、手術部や救急部などとの連携を考えて配置する必要があります。

日本集中治療医学会の指針では、集中治療部は救急部、手術部、放射線部、臨床工学部などと近接していることが望ましいとされています。

したがって、手術部は人や機器の出入りが多いからという理由でICUから離すのではなく、患者の安全な搬送や迅速な治療を考えて、近接させることが基本です。

選択肢2. 放射線治療部門の照射室は、放射線による治療装置(リニアック等)を使用するので、壁や天井等のコンクリート厚さを確保し、鋼板を組み合わせた遮蔽壁等を設けるなど、放射線の漏洩(ろうえい)を防ぐ対策が必要となる。

この記述は適当です。

リニアックは、高いエネルギーの放射線を使って、がんなどを治療する装置です。治療に必要な放射線が照射室の外へ漏れると、周囲の人が不要な放射線を受けるおそれがあります。

そのため、照射室の壁や天井には十分な遮蔽性能が必要です。一般には、厚いコンクリートを使ったり、必要に応じて鉄や鋼板などを組み合わせたりして、放射線が外へ漏れないようにします。

医療法施行規則でも、リニアックなどの診療用高エネルギー放射線発生装置を使用する室は、壁などの外側の放射線量が定められた値以下になるよう遮蔽することが求められています。

選択肢3. 感染症病室は、個室を原則とし、廊下に対して室内を陰圧に保ち、汚染空気が室外に流出しないよう、出入口に前室を設けるなどの配慮が重要である。

この記述は適当です。

感染症病室では、病原体を含む空気が廊下などへ流れ出し、ほかの患者や医療スタッフに感染を広げないようにする必要があります。

特に空気感染への対策が必要な病室では、病室の気圧を廊下などより低くする「陰圧」とします。こうすると、扉を開けた場合でも空気は廊下側から病室側へ流れやすくなり、病室内の空気が外へ出にくくなります。

また、病室と廊下との間に前室を設けることで、病室の空気が直接廊下へ流れることを防ぎやすくなります。第一種感染症指定医療機関の基準でも、病室は個室とし、前室を設け、陰圧制御ができることなどが定められています。

選択肢4. 精神科病院又は総合病院の精神科病棟の保護室は、患者の自傷行為を防ぐため、床や壁に柔らかい材料等を用い、窓側には観察廊下を設けるなどの設えが必要となる。

この記述は適当です。

精神科の保護室は、患者本人や周囲の人の安全を守りながら、患者を落ち着いた環境で治療するための部屋です。

患者が壁や床などに体をぶつけても大きなけがにつながりにくいよう、室内には外傷の危険を少なくする材料や仕上げを用いるなど、安全への配慮が必要です。厚生労働省が示している精神病院の建築基準でも、保護室の壁は外傷の危険が少ないものとし、室内の細かな部分まで安全性に配慮することが示されています。

また、保護室では患者の状態を継続して確認できることも大切です。観察廊下や観察窓などを設けることで、スタッフは患者の安全を確認しやすくなります。精神科保護室についての建築研究でも、観察廊下や窓は重要な計画項目として扱われています。

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02

この問題は、医療施設における各部門・諸室の機能的な配置計画、放射線治療室や感染症病室における特殊な設備・構造による安全・防疫対策、ならびに精神科保護室における患者の自傷行為防止等の安全配慮に関する総合的な知識が問われています。

選択肢1. ICU(Intensive Care Unit)は、個室を原則とし、人や機器の出入りが多い手術部とは離すなど、集中して治療を行うことができる配置計画が重要である。

×

ICU(集中治療室)は緊急度の高い患者や術後重症患者が入るため、手術部、救急部、検査部門等と同一階または近接(エレベーター等で直結)して配置することが基本です。問題文にある「人や機器の出入りが多い手術部とは離す」というのは、迅速な搬送や医療連携を阻害するため不適切です。

選択肢2. 放射線治療部門の照射室は、放射線による治療装置(リニアック等)を使用するので、壁や天井等のコンクリート厚さを確保し、鋼板を組み合わせた遮蔽壁等を設けるなど、放射線の漏洩(ろうえい)を防ぐ対策が必要となる。

〇

リニアック(高エネルギー放射線治療装置)等を使用する照射室では、強力な放射線が周囲に漏れるのを防ぐため、高密度の重コンクリート(壁・天井の厚みを確保)や鉛板・鋼板による遮蔽壁を設けるなど、厳重な放射線防護対策が求められます。

選択肢3. 感染症病室は、個室を原則とし、廊下に対して室内を陰圧に保ち、汚染空気が室外に流出しないよう、出入口に前室を設けるなどの配慮が重要である。

〇

感染症病室では、病室内で発生した汚染空気が廊下や他の病室へ流出(拡散)するのを防ぐため、室内を前室や廊下よりも「陰圧(気圧を低く)」に保ちます。また、出入口には気圧の緩衝地帯となる前室(エアロック)を設ける計画が必須です。
 

選択肢4. 精神科病院又は総合病院の精神科病棟の保護室は、患者の自傷行為を防ぐため、床や壁に柔らかい材料等を用い、窓側には観察廊下を設けるなどの設えが必要となる。

〇

精神科病棟の保護室では、患者が壁などに頭や身体を打ち付けて傷つける自傷行為を防ぐため、壁や床に衝撃吸収性のあるクッション材(柔らかい材料)を使用します。また、安全の確認や状態の観察を行うため、窓側に観察廊下(監視廊)を設けるといった安全上の配慮が行われます。

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