一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問15 (学科1(計画) 問15)
問題文
公立小学校・中学校等の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
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問題
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一級建築士試験 令和8年(2026年) 問15(学科1(計画) 問15) (訂正依頼・報告はこちら)
公立小学校・中学校等の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 施設一体型の義務教育学校において、小・中学校段階の教職員が連携し、教育内容の充実や学校運営の円滑化を図るため、共同の職員室とした。
- 小学校において、災害時に指定避難所として使用することを想定し、教育活動の早期再開が可能となるように、避難所機能と教育機能の区画や動線を分けられるようにした。
- 中学校において、音楽教室は、学習活動に使用する楽器等が適切に配置できる面積を確保し、音圧の分布を一定にするために表面が平滑なドーム天井とした。
- 聴覚障害特別支援学校において、教員と児童生徒とが相互に表情や口、手の動きを見てコミュニケーションを取れるよう、教室の机の配置を馬蹄形(ばていけい)とした。
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題は、小・中学校等の学校建築における最新の教育形態に応じた計画、災害時の避難所機能を踏まえた動線計画、ならびに音楽教室などの特殊教室における音響計画上の配慮について問われています。
〇
小・中学校が一体となった義務教育学校では、教職員同士の緊密な連携や情報共有、学校運営の円滑化を図るため、小・中学校の教職員が一緒に使える共同の職員室(一体型職員室)を設ける計画が一般的です。
〇
近年の学校建築では、災害時に地域住民の指定避難所となることが多く想定されています。その際、平常時の教育活動(授業や学校生活)を早期に再開できるよう、避難所として使われるエリアと教育機能を明確に区画し、動線を分離できる計画とすることが重要視されています。
×
音楽教室では、室内全体に音が均等に届く(音圧の分布を一定にする)よう、適切な吸音・拡散性能を持つ天井や壁の計画が求められます。しかし、表面が平滑なドーム天井(曲面)にしてしまうと、音が特定の一点に集中して反射(集音・収音効果)してしまい、フラッターエコー(こだま)や音響のムラ(音圧の偏り)を引き起こす原因となります。そのため、音響上の配慮として不適切です。
〇
聴覚障害のある児童生徒が学ぶ教室では、教員の表情や口の動き(口話)、手話表現、周囲の友達の動きをお互いにしっかりと視覚で捉えられるよう、視線を共有しやすい馬蹄形(ばていけい・U字型)の机の配置が有効とされています
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02
最も不適当なのは、「中学校において、音楽教室は、学習活動に使用する楽器等が適切に配置できる面積を確保し、音圧の分布を一定にするために表面が平滑なドーム天井とした。」という記述です。
音楽教室で楽器などを適切に配置できる広さを確保することは適切ですが、表面が平滑なドーム天井は音を均一に広げる形ではありません。ドームのような曲面では、反射した音が一部に集まりやすく、場所によって音の大きさに差が生じる「音の集中」が起こることがあります。
文部科学省の中学校施設整備指針でも、音楽を行う空間は良好な音響環境となるように形状を計画し、天井や壁の吸音面と反射面を適切に処理することが求められています。
適当な記述です。
施設一体型の義務教育学校では、小学校段階と中学校段階の教職員が同じ施設で働き、9年間を通した教育を行います。そのため、教職員同士が情報を共有しやすく、日常的に連携できる環境をつくることが大切です。
文部科学省の学校施設整備指針では、施設一体型の義務教育学校などについて、教職員が一体的に利用できる職員室を計画することが重要とされています。共同の職員室とすることで、児童生徒の情報交換や授業についての相談、学校運営の打合せなどを行いやすくなります。
適当な記述です。
学校は、災害が起こったときに地域住民の避難所として使われることがあります。しかし、避難所として使われている間も、できるだけ早く授業を再開できるように考えておく必要があります。
そのため、避難者が生活する場所と児童が学習する場所を分け、それぞれの移動経路も分けられるようにしておくことが重要です。例えば、体育館などを避難所として使いながら、校舎の教室では授業を再開できるような計画が考えられます。
文部科学省の小学校施設整備指針でも、避難所となる場合は、教育活動を早期に再開するため、避難所機能と教育機能の区画や動線を分けられるようにすることが重要とされています。
不適当な記述です。
音楽教室では、楽器を置いたり演奏したりできる十分な広さを確保することは大切です。しかし、「音圧の分布を一定にするために表面が平滑なドーム天井とする」という部分は適切ではありません。
ドーム天井は内側に曲がった面をもつため、そこで反射した音が特定の場所に集まりやすくなります。特に表面が平滑で音をよく反射する場合は、この影響が起こりやすくなります。その結果、ある場所では音が大きく聞こえ、別の場所では小さく聞こえるなど、むしろ音の分布が不均一になるおそれがあります。日本建築学会室内音響小委員会が監修する解説でも、ドーム状の空間では反射音が中心付近に集まる「音の集中」が生じることが説明されています。
音楽教室では、天井や壁の吸音と反射のバランスを考え、音が一か所に集まらず、教室全体で聞きやすくなるように計画することが大切です。文部科学省も、音楽活動を行う室では天井や壁の吸音面・反射面を適切に処理することを示しています。
適当な記述です。
聴覚障害のある児童生徒は、音声だけでなく、相手の口の形、顔の表情、手話や指文字、手の動きなどの視覚的な情報も使ってコミュニケーションを取ります。
机を馬蹄形に配置すると、教員の顔だけでなく、児童生徒同士も互いの顔や手の動きを見やすくなります。そのため、話合いや授業で誰が何を伝えているのかを確認しやすくなります。
文部科学省の「聴覚障害教育の手引」でも、座席を馬蹄形にすることで、教員と児童生徒、児童生徒同士が読話をしやすくなり、円滑なコミュニケーションにつながるとされています。 また、現在の特別支援学校施設整備指針でも、口の形や顔の筋肉の動き、手の動きなどを読み取りながら学習できる環境への配慮が求められています。
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