一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問13 (学科1(計画) 問13)
問題文
都市における住まいや住宅地の用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
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問題
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一級建築士試験 令和8年(2026年) 問13(学科1(計画) 問13) (訂正依頼・報告はこちら)
都市における住まいや住宅地の用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- ジェイン・ジェイコブズは、著書『アメリカ大都市の死と生』において、頻繁に使われる街路は安全な傾向があり、街路には常に住民、通行人、店員等の多数の目を置く必要があるとしている。
- セグリゲーションは、クラレンス・スタインとヘンリー・ライトらが計画した住宅地の開発において、通過交通を排除するための袋小路や歩車分離を取り入れた方式である。
- SI住宅は、構造躯体と住戸内の間仕切りや設備とが明確に分離された構法により、建築物の長寿命化を図る方式であり、実験集合住宅NEXT21(大阪府)等に採用されている。
- リビングアクセス形式は、各住戸のリビングやダイニングを共用空間側に設ける形式であり、住民間の交流や見守りを意図して、釜石市天神復興住宅(岩手県)等に採用されている。
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この過去問の解説 (2件)
01
最も不適当なのは、「セグリゲーションは、クラレンス・スタインとヘンリー・ライトらが計画した住宅地の開発において、通過交通を排除するための袋小路や歩車分離を取り入れた方式である。」という記述です。
この説明は「セグリゲーション」ではなく、「ラドバーン方式」の内容です。
ラドバーン方式は、住宅地に通り抜けの車が入らないようにクルドサックと呼ばれる袋小路を設け、歩行者用の通路と車道を分けることで、安全な住宅地をつくる計画方法です。クラレンス・スタインとヘンリー・ライトらによるアメリカのラドバーン住宅地で採用されました。
適当な記述です。
ジェイン・ジェイコブズは、1961年に発表した『アメリカ大都市の死と生』で、都市の街路や歩道の安全について論じています。
ジェイコブズは、人がほとんど通らない街路よりも、多くの人が日常的に利用する街路のほうが安全を保ちやすいと考えました。
そのためには、住宅の住民だけでなく、店員や客、通行人など、さまざまな人の「目」が街路に向けられていることが大切です。人の目が自然に行き届くことで、犯罪などが起こりにくい環境につながるという考え方です。
この考え方は「街路の目」とも呼ばれ、ジェイコブズの都市論を代表する考え方の一つです。
不適当な記述です。
クラレンス・スタインとヘンリー・ライトらが計画した住宅地で、クルドサックと呼ばれる袋小路を設けたり、歩行者と自動車の通る場所を分けたりした計画方法は「ラドバーン方式」です。
ラドバーン方式では、住宅地の中を関係のない車が通り抜けないように道路を袋小路とし、歩行者は車道とは別の通路を使って、公園や学校などへ移動できるように計画します。つまり、「通過交通の排除」「クルドサック」「歩車分離」はラドバーン方式を見分ける重要な特徴です。
一方、セグリゲーションは、都市の中で人種や民族、所得などの異なる集団が、地域ごとに分かれて居住するような「居住の分離」を表すときに使われる言葉です。
したがって、この記述は用語を「セグリゲーション」ではなく「ラドバーン方式」とすれば内容が合います。
適当な記述です。
SI住宅の「S」はスケルトン、「I」はインフィルを表します。
スケルトンは柱や梁などの建物を支える構造躯体、インフィルは住戸内の間仕切り、内装、設備、配管などを指します。
SI住宅では、この二つを分けてつくります。長期間使用する構造躯体は丈夫につくり、生活の変化や設備の古さに応じて、間仕切りや設備などは比較的容易に変更できるようにします。
そのため、家族構成や暮らし方が変わっても住戸内部を改修しやすく、建物そのものを長く使い続けることができます。
大阪市にある実験集合住宅「NEXT21」では、このスケルトン・インフィル方式が採用されています。大阪ガスは、NEXT21について、高耐久のスケルトンと、更新・変更できるインフィルを分けることで、建物を長く使うことを目指した住宅であると説明しています。
適当な記述です。
リビングアクセス形式は、住戸のリビングやダイニングなど、日常的に人が過ごす部屋を共用廊下などの共用空間側に向ける形式です。
一般的な集合住宅では、共用廊下側に玄関や個室を配置することがありますが、リビングアクセス形式では、生活の中心となる場所を共用空間に近づけます。
そのため、住民同士がお互いの気配を感じやすくなり、自然な交流や見守りにつながることが期待できます。
岩手県釜石市の天神復興住宅ではリビングアクセス形式が採用され、住戸のリビングを共用空間に面して配置することで、住民同士が互いの様子を感じやすくし、交流を生み出すように工夫されています。
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02
この問題は、都市計画や住宅地計画における主要な理論・用語についての正確な定義および代表的な実例の理解を問われています。
〇
ジェイコブズは、従来の近代都市計画による大規模再開発(機能分離)を批判し、多様性のある賑やかな街路こそが犯罪を防ぎ、安全性を高めると主張しました。街路に向けられた多様な視線を「街路に対する目(Eyes on the Street)」と呼び、通行人や店員等の目があることが防犯や安全に寄与するとしています。
×
セグリゲーション(Segregation)とは、居住地において、人種・民族・社会階層などによって居住地域が地理的・社会的に隔離・分断される現象を指す用語です。問題文はラドバーン方式の説明になります。
〇
SI住宅(Skeleton / Infill)は、建物の構造躯体(スケルトン=耐久性の高い骨組み)と、内装・設備・間仕切り(インフィル=可変性のある住設)を分離する構法です。間取りの変更や設備の更新が容易になり、建築物の長寿命化を図ることができます。大阪ガスが建設した実験集合住宅「NEXT21」(大阪府)は、代表的な実例として知られます
〇
リビングアクセス形式は、共用廊下やテラスに面して各住戸のリビング・ダイニングなどを配置する形式です。居住者が行き交う共用空間と生活空間を近づけることで、自然なコミュニケーションや見守り効果(防犯・孤独死防止)を狙います。東日本大震災後のコミュニティ復興を目指した釜石市天神復興住宅(岩手県)などで採用されています。
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