一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問9 (学科1(計画) 問9)

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問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問9(学科1(計画) 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

高齢者、障害者等の利用に配慮した建築物の計画に関する次の記述のうち、国土交通省「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」(令和7年5月)に照らして、最も不適当なものはどれか。
  • 図書館の基本構想・基本計画段階において、「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」を基に、ワークショップや類似施設の見学等を通じて施設運営者、施設利用者等と意見交換を行い、多様なニーズを反映した施設整備を行った。
  • 劇場の客席において、座席の総数に応じて車椅子使用者用客席を設け、その背後に同伴者用の座席を同数以上設けた。
  • 大規模店舗の駐車場において、車椅子使用者用の駐車区画とは別に高齢者、妊婦、乳幼児連れ、けが人等、移動に配慮が必要な人のために優先駐車区画を建築物の出入口に近い位置に設け、1台当たりの区画の幅を2.5mとした。
  • 美術館の階段において、壁に設置する手すりは、踊場にも連続するように設け、階段の端部では段鼻から水平に450mm延長させた。

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この過去問の解説 (2件)

01

最も不適当なのは、「劇場の客席において、座席の総数に応じて車椅子使用者用客席を設け、その背後に同伴者用の座席を同数以上設けた。」です。

劇場などでは、座席の総数に応じて車椅子使用者用客席を設けることが大切です。また、同伴者用の座席又はスペースも設けます。ただし、同伴者用の座席は、車椅子使用者用客席の背後に離して設けるのではなく、隣接して設けることが基本です。介助や会話がしやすく、一緒に観覧できるようにするためです。

選択肢1. 図書館の基本構想・基本計画段階において、「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」を基に、ワークショップや類似施設の見学等を通じて施設運営者、施設利用者等と意見交換を行い、多様なニーズを反映した施設整備を行った。

これは適当です。

高齢者や障害者などに配慮した建築物をつくるには、設計者だけで考えるのではなく、実際に施設を使う人や運営する人の意見を聞くことが大切です。

図書館では、利用者の年齢や障害の有無、使い方によって必要な配慮が異なります。ワークショップや類似施設の見学を通して意見交換を行い、多様なニーズを反映することは適切です。

選択肢2. 劇場の客席において、座席の総数に応じて車椅子使用者用客席を設け、その背後に同伴者用の座席を同数以上設けた。

これは不適当です。

劇場では、車椅子使用者も他の観客と同じように観覧できるよう、座席の総数に応じて車椅子使用者用客席を設けます。

また、家族や介助者などが一緒に観覧できるように、同伴者用の座席又はスペースを設けることも大切です。

しかし、同伴者用の座席を車椅子使用者用客席の背後に設けると、会話や介助がしにくくなることがあります。基本的には、車椅子使用者用客席に隣接して設けることが望まれます。

そのため、「その背後に同伴者用の座席を同数以上設けた」という説明が不適当です。

選択肢3. 大規模店舗の駐車場において、車椅子使用者用の駐車区画とは別に高齢者、妊婦、乳幼児連れ、けが人等、移動に配慮が必要な人のために優先駐車区画を建築物の出入口に近い位置に設け、1台当たりの区画の幅を2.5mとした。

これは適当です。

駐車場では、車椅子使用者用の駐車区画だけでなく、高齢者、妊婦、乳幼児連れ、けが人など、移動に配慮が必要な人のための優先駐車区画を設けることがあります。

優先駐車区画は、建築物の出入口に近い位置にあると、移動の負担を減らすことができます。また、一般的な駐車区画として、1台当たりの幅を2.5mとすることは適切です。

なお、車椅子使用者用駐車区画は、車椅子への乗り降りに必要なスペースを確保するため、これより広い幅が必要になります。

選択肢4. 美術館の階段において、壁に設置する手すりは、踊場にも連続するように設け、階段の端部では段鼻から水平に450mm延長させた。

これは適当です。

階段では、上り下りの途中だけでなく、踊場でも体を支えられるように、手すりを連続して設けることが大切です。

また、階段の始まりや終わりで手すりがすぐに切れてしまうと、姿勢を安定させにくくなります。そのため、階段の端部では、段鼻から水平に450mm延長することが望まれます。

これにより、高齢者や障害者などが階段を使うときに、より安全に移動しやすくなります。

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02

この問題は、近年の改定内容や、駐車場・階段における最新の建築設計基準を正確に理解しているかを問われています。

選択肢1. 図書館の基本構想・基本計画段階において、「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」を基に、ワークショップや類似施設の見学等を通じて施設運営者、施設利用者等と意見交換を行い、多様なニーズを反映した施設整備を行った。

〇

「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」は、高齢者や障害者を含む全ての施設利用者が設計・計画の段階から意見を反映させ、質の高いバリアフリー環境を構築することを目的に策定された指針です。可能な限り早い段階からワークショップや意見交換を行うことは、多様なニーズを反映した施設整備を行う上で適切です。

選択肢2. 劇場の客席において、座席の総数に応じて車椅子使用者用客席を設け、その背後に同伴者用の座席を同数以上設けた。

×

「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」では、車椅子使用者用客席の同伴者用の客席(スペース)について、見やすさ(サイトライン)やコミュニケーションの取りやすさを考慮し、後ろではなく「横に隣接して設けること」と規定されています。

選択肢3. 大規模店舗の駐車場において、車椅子使用者用の駐車区画とは別に高齢者、妊婦、乳幼児連れ、けが人等、移動に配慮が必要な人のために優先駐車区画を建築物の出入口に近い位置に設け、1台当たりの区画の幅を2.5mとした。

〇

この問題文では、車椅子使用者ではなくそれ以外の移動に配慮が必要な人のための優先駐車区画のことを聞かれています。移動に配慮が必要な人のための優先駐車区画は、建築物の出入口に近い位置に設けるとともに、幅については通常の駐車区画と同等の2.5m程度を確保することが標準とされています(※なお、車椅子使用者用の駐車区画の場合は、乗り降りのスペースを考慮して幅3.5m以上が必要となります)。
 

選択肢4. 美術館の階段において、壁に設置する手すりは、踊場にも連続するように設け、階段の端部では段鼻から水平に450mm延長させた。

〇

人間が階段の昇り降りで最もバランスを崩しやすく転倒事故が起きやすいのは「階段に入る瞬間」と「階段を降り切る最後の1段」です。階段の端部(起終点)で段鼻から水平に450mm(約半歩〜1歩分)延長させることにより、「階段に足をかける直前のフラットな位置」から「階段を降り切って完全に着地した安定した位置」に至るまで、常に手すりをしっかりと握り続けられる状態を物理的に担保します。また、踊場にも連続させて設けることで把持の途切れを防ぎます。

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