一級建築士 過去問
令和7年(2025年)
問88 (学科4(構造) 問18)

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問題

一級建築士試験 令和7年(2025年) 問88(学科4(構造) 問18) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 梁の塑性変形能力は、使用する鋼材の降伏比が小さいほど向上する。
  • 弱軸まわりに曲げを受けるH形鋼の許容曲げ応力度は、幅厚比の制限に従う場合、許容引張応力度と同じ値とすることができる。
  • 梁の弱軸まわりの細長比が200で、梁の全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合、梁の鋼種がSN400 BよりSN490 Bのほうが横補剛の必要箇所は多くなる。
  • 圧縮材の許容圧縮応力度は、鋼材及び部材の座屈長さが同じ場合、座屈軸まわりの断面二次半径が小さいほど大きくなる。

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この過去問の解説 (2件)

01

鉄骨構造の設計に関する問題です。

選択肢1. 梁の塑性変形能力は、使用する鋼材の降伏比が小さいほど向上する。

正しいです。

鉄骨構造において降伏比は小さいほど塑性変形能力(靭性)は高くなります。

選択肢2. 弱軸まわりに曲げを受けるH形鋼の許容曲げ応力度は、幅厚比の制限に従う場合、許容引張応力度と同じ値とすることができる。

正しいです。

幅厚比の制限は座屈防止のための規定です。

 

弱軸周りに曲げを受ける場合や箱型断面の場合は横座屈は生じないと考え、

幅厚比による許容曲げ応力度の低減はしません。

 

よって、許容引張応力度と同じ値(鋼材の許容引張応力度・許容曲げ応力度・許容圧縮応力度は同じ値のため)とすることができます。

選択肢3. 梁の弱軸まわりの細長比が200で、梁の全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合、梁の鋼種がSN400 BよりSN490 Bのほうが横補剛の必要箇所は多くなる。

正しいです。

鋼材の強度をあげると強度の高い鋼材の方が大きな応力を負担するため横座屈しやすくなります。

よって、横補剛の必要箇所は多くなります。

選択肢4. 圧縮材の許容圧縮応力度は、鋼材及び部材の座屈長さが同じ場合、座屈軸まわりの断面二次半径が小さいほど大きくなる。

誤りです。

断面二次半径が小さいと細長比が大きくなります。

細長比が大きくなる=座屈しやすくなり、許容圧縮応力度は小さくなります。

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02

この問題で覚えておくポイントは、鉄骨構造における「鋼材の性質」「許容応力度」「横補剛」「座屈」の関係です。
鉄骨部材は、引張力には比較的強い一方、圧縮力を受ける部材では座屈による耐力低下に注意する必要があります。

では問題をみてみましょう。

選択肢1. 梁の塑性変形能力は、使用する鋼材の降伏比が小さいほど向上する。

降伏比とは、鋼材の「降伏強度」と「引張強さ」の比率のことです。

降伏比 = 降伏点 ÷ 引張強さ

降伏比が小さい鋼材は、降伏してから破断するまでの余裕が大きく、塑性変形能力(粘り強さ)が高くなります。

つまり、地震時などに大きな変形を受けても急激に破壊しにくいため、梁の塑性変形能力は向上し、正しい記述です。

選択肢2. 弱軸まわりに曲げを受けるH形鋼の許容曲げ応力度は、幅厚比の制限に従う場合、許容引張応力度と同じ値とすることができる。

H形鋼などの鉄骨梁は、曲げを受けると圧縮側で局部座屈が発生する可能性があります。

しかし、幅厚比の制限を満たしている場合は、局部座屈の危険性が低く、弱軸まわりの曲げに対しても十分な耐力を発揮できます。

そのため、条件を満たす場合は、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値として扱うことができ、正しい記述です。

選択肢3. 梁の弱軸まわりの細長比が200で、梁の全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合、梁の鋼種がSN400 BよりSN490 Bのほうが横補剛の必要箇所は多くなる。

横補剛とは、梁の横座屈を防止するために設ける補強材です。

鋼材の強度が高いSN490 Bは、SN400 Bより降伏強度が高いため、より大きな曲げ力を負担できます。

しかし、高強度鋼ほど横座屈に対する安定性の確保が重要となり、必要な横補剛の条件は厳しくなります。

そのため、SN490 Bのほうが必要な横補剛箇所が多くなるので、正しい記述です。
 

選択肢4. 圧縮材の許容圧縮応力度は、鋼材及び部材の座屈長さが同じ場合、座屈軸まわりの断面二次半径が小さいほど大きくなる。

断面二次半径とは、部材の座屈しにくさを表す指標です。

細長比は以下の式で求められます。

細長比 = 座屈長さ ÷ 断面二次半径

座屈長さと鋼材が同じ場合、断面二次半径が小さくなると細長比は大きくなります。

細長比が大きい部材ほど座屈しやすくなり、許容圧縮応力度は小さくなります

したがって、

「断面二次半径が小さいほど許容圧縮応力度は大きくなる」という記述は逆であり、不適当です。
 

まとめ

この問題は、鉄骨構造における「塑性変形能力」「曲げ耐力」「横補剛」「座屈」の基本的な考え方を確認する問題です。

特に圧縮材では、細長比が大きいほど座屈しやすく、許容圧縮応力度は低下するという関係を覚えておきましょう。

また、鋼材の降伏比や強度によって、梁の塑性能力や横補剛の必要性が変化する点も一級建築士試験では頻出事項です。
 

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