一級建築士 過去問
令和7年(2025年)
問60 (学科3(法規) 問20)

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問題

一級建築士試験 令和7年(2025年) 問60(学科3(法規) 問20) (訂正依頼・報告はこちら)

ホテルに関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
  • 敷地が第二種中高層住居専用地域内に800m2、近隣商業地域内に850m2と二つの用途地域にわたる場合、当該敷地には、ホテルを新築することができる。
  • 延べ面積3,000m2のホテルにおいて、耐火構造の床若しくは壁又は防火戸その他の政令で定める防火設備で床面積30m2に区画された客室には、排煙設備を設置しなくてもよい。
  • 主要構造部を耐火構造とした地上15階建てのホテルにおいて、15階の客室及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でした場合、当該客室の各部分から避難階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離は、60mとすることができる。
  • 1階を避難階とするホテルにおいて、3階以上の階にある床面積50m2の客室には、採光上有効な窓がある場合であっても、非常用の照明装置を設けなければならない。

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この過去問の解説 (1件)

01

誤っているのは、「主要構造部を耐火構造とした地上15階建てのホテルにおいて、15階の客室及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でした場合、当該客室の各部分から避難階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離は、60mとすることができる。」という記述です。

ホテルの避難規定は、建物の高さや階によって条件が変わります。特に15階は、ふつうの階よりも厳しい避難のルールがかかります。そのため、この記述のように、単に内装を準不燃材料にしたことだけを理由に、15階の客室から直通階段までの歩行距離をそのまま60mにできると考えるのは適切ではありません。

選択肢1. 敷地が第二種中高層住居専用地域内に800m2、近隣商業地域内に850m2と二つの用途地域にわたる場合、当該敷地には、ホテルを新築することができる。

これは適切な記述です。

第二種中高層住居専用地域では、ホテルは建てられません。ですが、敷地が2つ以上の用途地域にまたがるときは、どの用途地域が敷地の過半を占めるかで用途制限を判断します。今回の敷地は、近隣商業地域が850㎡、第二種中高層住居専用地域が800㎡ですので、過半を占めるのは近隣商業地域です。近隣商業地域ではホテルを建てることができるため、この記述は成り立ちます。

選択肢2. 延べ面積3,000m2のホテルにおいて、耐火構造の床若しくは壁又は防火戸その他の政令で定める防火設備で床面積30m2に区画された客室には、排煙設備を設置しなくてもよい。

これは適切な記述です。

ホテルは、建築基準法施行令の排煙設備の規定では、一定の場合に例外が認められています。ホテルのような用途では、準耐火構造の床や壁、または防火設備で区画された部分が100㎡以内であれば、排煙設備を設けなくてよいとされています。問題文では30㎡で区画されていますので、この条件を満たします。しかも、問題文は耐火構造となっており、これは準耐火構造よりも強い性能です。したがって、この記述は正しい内容です。

選択肢3. 主要構造部を耐火構造とした地上15階建てのホテルにおいて、15階の客室及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でした場合、当該客室の各部分から避難階又は地上に通ずる直通階段の一に至る歩行距離は、60mとすることができる。

これは誤りです。

ホテルでは、一定の条件を満たすと歩行距離が緩和されることがあります。実際に、耐火構造のホテルで、客室や通路の内装を準不燃材料とした場合に、60mという数字が出てくる場面はあります。ですが、問題文は15階の客室について述べています。15階以上の階に通ずる階段は特別避難階段にしなければならないため、避難経路には15階特有の、より厳しい条件がかかります。したがって、この記述のように、準不燃材料で仕上げたことだけを前提にして、15階でもそのまま60mにできるとするのは不十分です。

選択肢4. 1階を避難階とするホテルにおいて、3階以上の階にある床面積50m2の客室には、採光上有効な窓がある場合であっても、非常用の照明装置を設けなければならない。

これは適切な記述です。

ホテルの客室には、原則として非常用の照明装置が必要です。例外として設置しなくてよい場合もありますが、それはかなり限られています。たとえば、30㎡以下の小さな部屋であることなどが条件になります。問題文の客室は50㎡ありますので、この例外には当たりません。しかも、3階以上の客室ですので、避難の安全性を考えると非常用照明が必要です。採光上有効な窓があることだけでは、設置義務はなくなりません。

 

まとめ

この問題では、ホテルに関する建築基準法の細かいルールが問われています。覚えておくポイントは次のとおりです。

 

・用途地域が2つにまたがる敷地では、過半を占める用途地域で建築できるかを判断します。

・ホテルの客室は、防火区画の条件を満たせば、排煙設備が不要になることがあります。今回の30㎡はその範囲内です。

・15階以上の階は避難の条件が厳しくなり、特別避難階段の規定が関係します。ここが今回のひっかけになっています。

・非常用照明は、ホテルでは原則必要で、50㎡の3階以上の客室は例外になりません。

 

この問題は、数字だけでなく、「どの階か」「どの用途か」「どんな防火条件か」をセットで見ることが大切です。

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