一級建築士 過去問
令和7年(2025年)
問53 (学科3(法規) 問13)

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問題

一級建築士試験 令和7年(2025年) 問53(学科3(法規) 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

建築物の構造計算に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
  • 鉄筋コンクリート造、高さ31mの建築物の地上部分について、保有水平耐力計算を行う場合、各階の偏心率が、それぞれ15/100を超えないことを確かめなくてもよい。
  • 鉄骨造の建築物において、限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分である柱の脚部は、滑節構造である場合を除き、国土交通大臣が定める基準に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。
  • 鉄筋コンクリート造、高さ25mの建築物において、保有水平耐力計算を行う場合、外装材について、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって風圧に対して構造耐力上安全であることを確かめなければならない。
  • 限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期(常時及び積雪時)及び短期(積雪時及び暴風時)の各応力度が、それぞれ長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないことを確かめなければならない。

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この過去問の解説 (1件)

01

誤っているのは、「鉄骨造の建築物において、限界耐力計算を行う場合、柱の脚部は、滑節構造である場合を除き、国土交通大臣が定める基準に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。」という記述です。

柱脚を基礎にしっかり固定することは原則として大切ですが、限界耐力計算を行う場合は、関連する告示の適用が一律ではありません。そのため、この選択肢のように必ずこの基準どおりにしなければならないと言い切るのは適切ではありません。ほかの記述は、それぞれ保有水平耐力計算や限界耐力計算のルールに合っています。

選択肢1. 鉄筋コンクリート造、高さ31mの建築物の地上部分について、保有水平耐力計算を行う場合、各階の偏心率が、それぞれ15/100を超えないことを確かめなくてもよい。

これは適切な記述です。

偏心率とは、建物に地震の力がかかったときに、揺れ方が片寄りやすいかどうかを見る目安です。建物の形や壁の配置がかたよっていると、まっすぐ揺れず、ねじれるように揺れやすくなります。

ただし、偏心率が15/100を超えないことを確かめるルールは、主に許容応力度等計算で問題になる内容です。ここでは保有水平耐力計算を行う場合の話なので、設問のように「別にその確認をしなくてもよい」という説明は成り立ちます。

つまり、この選択肢は、偏心率の確認が必要になる場面と、保有水平耐力計算の場面をきちんと分けているので、適切です。

選択肢2. 鉄骨造の建築物において、限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分である柱の脚部は、滑節構造である場合を除き、国土交通大臣が定める基準に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。

これは誤っている記述です。

柱の脚部は、建物の柱と基礎をつなぐ大切な部分です。ここが弱いと、地震や風の力をうまく基礎に伝えられません。そのため、普通はアンカーボルトなどで基礎にしっかり緊結することが重要です。

しかし、この選択肢が誤りになるのは、限界耐力計算を行う場合でも、いつでも一律にこの基準どおりでなければならないと言い切っている点です。限界耐力計算では、関連する告示の適用のされ方が一律ではなく、設計の考え方が少し変わります。

そのため、「滑節構造である場合を除き、必ずこの基準に従わなければならない」と断定しているところが不適切です。問題は、柱脚を緊結すること自体ではなく、限界耐力計算の場合まで同じ形で言い切っていることにあります。

選択肢3. 鉄筋コンクリート造、高さ25mの建築物において、保有水平耐力計算を行う場合、外装材について、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって風圧に対して構造耐力上安全であることを確かめなければならない。

これは適切な記述です。

外装材とは、建物の外側につく材料のことです。たとえば、外壁の仕上げ材やパネルなどがこれにあたります。これらは建物本体ほど目立たなくても、強い風を受ける部分なので、安全の確認が必要です。

保有水平耐力計算というと地震の計算をイメージしやすいですが、それとは別に、外装材が風圧に対して安全かどうかも確認しなければならないとされています。高さ25mの鉄筋コンクリート造であっても、その確認が不要になるわけではありません。

つまり、この選択肢は、外装材について風の力に対する安全確認が必要であるという点を正しく述べているので、適切です。

選択肢4. 限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期(常時及び積雪時)及び短期(積雪時及び暴風時)の各応力度が、それぞれ長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないことを確かめなければならない。

これは適切な記述です。

限界耐力計算では、建物がどの程度の力まで耐えられるかを確認しますが、その前提として、部材に生じる応力度が大きすぎないかも見ます。応力度とは、部材の中に生じる力のかかり方の強さのことです。

ここでいう長期は、建物が普段ずっと受けている力を中心に考える場合です。たとえば建物の重さなどです。短期は、風や雪のように、あるときに強くかかる力を考える場合です。

この選択肢は、限界耐力計算を行う場合にも、長期・短期それぞれについて許容応力度を超えないことを確かめるという基本的な考え方を述べています。そのため、内容としては適切です。

まとめ

この問題では、構造計算の種類ごとに、どのルールがそのまま当てはまるのかを見分けることが大切です。

今回のポイントは、柱脚の基礎への緊結そのものが問題なのではなく、限界耐力計算の場合まで一律に同じ基準を当てはめて言い切っている点が誤りだということです。

覚えておくポイントとしては、
偏心率は計算方法との関係で考えること
外装材は風圧に対する安全確認が必要であること
柱脚は原則だけでなく、どの計算方法で判断するかまで見ること
この3つです。

このように、条文の言葉をそのまま覚えるだけでなく、どの場面で使うルールなのかを整理しておくことが、似た問題で迷わないコツです。

 

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