一級建築士 過去問
令和7年(2025年)
問14 (学科1(計画) 問14)

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問題

一級建築士試験 令和7年(2025年) 問14(学科1(計画) 問14) (訂正依頼・報告はこちら)

商業建築物等の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 大規模店舗において、竣工後に短期間で容易にテナントの入れ替えや区画変更ができるよう、全館避難安全検証法の性能設計のうち国土交通大臣の個別認定による安全検証を行った。
  • 劇場において、エントランスホールから客席までのアプローチを十分に確保したうえで、段階的に暗くし、暗さに目が慣れるのを早めるため、客席空間は赤色を基調とした内装とした。
  • 百貨店において、駐車場の適正利用を図るため、駐車場内の一般駐車スペースと区別がつくように車椅子使用者用駐車スペースの路面を青色に塗装してゾーン分けを行った。
  • 高層事務所ビルにおいて、ビル風対策のため、建築物の外壁の出隅部分を曲面にするほか、クスノキやシラカシ等の常緑樹の高木を建築物の外周部に植栽した。

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この過去問の解説 (2件)

01

商業建築物等の計画に関する問題です。

選択肢1. 大規模店舗において、竣工後に短期間で容易にテナントの入れ替えや区画変更ができるよう、全館避難安全検証法の性能設計のうち国土交通大臣の個別認定による安全検証を行った。

誤りです。

全館避難安全検証法の性能設計のうち国土交通大臣の個別認定による安全検証は、デザインや設計での自由度は高いですがテナント利用する場合にもレイアウトの検証など高度な検証が必要になるためテナントの入れ替えや区画変更は容易には行えません。

選択肢2. 劇場において、エントランスホールから客席までのアプローチを十分に確保したうえで、段階的に暗くし、暗さに目が慣れるのを早めるため、客席空間は赤色を基調とした内装とした。

正しいです。

暗い場所ではプルキンエ現象により青色は鮮やかに見え、赤色が暗く見えます。

選択肢3. 百貨店において、駐車場の適正利用を図るため、駐車場内の一般駐車スペースと区別がつくように車椅子使用者用駐車スペースの路面を青色に塗装してゾーン分けを行った。

正しいです。

車いす用の駐車は視認性の高い青色などで塗装し、一般車両と区別できるようにします。

選択肢4. 高層事務所ビルにおいて、ビル風対策のため、建築物の外壁の出隅部分を曲面にするほか、クスノキやシラカシ等の常緑樹の高木を建築物の外周部に植栽した。

正しいです。

クスノキやシラカシ等の高木を建築物の外周部に植栽することはビル風対策として有効です。

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02

最も不適当なのは、「大規模店舗において、竣工後に短期間で容易にテナントの入れ替えや区画変更ができるよう、全館避難安全検証法の性能設計のうち国土交通大臣の個別認定による安全検証を行った。」です。

国土交通大臣の個別認定による避難安全性能の検証は、建築物の具体的な平面計画や避難経路などをもとに詳しく安全性を確認する方法です。そのため、認定を受けた後に間仕切りやテナント配置などを変更すると、避難安全性能への影響を再び確認する必要があり、変更内容によっては性能評価や大臣認定を改めて受けることになります。したがって、短期間で容易にテナントを入れ替えたり、区画を変更したりすることを目的として採用する方法としては適切ではありません。日本建築総合試験所でも、大臣認定取得後に設計変更をした場合は、原則として性能評価と大臣認定を再度取得する必要があるとしています。

選択肢1. 大規模店舗において、竣工後に短期間で容易にテナントの入れ替えや区画変更ができるよう、全館避難安全検証法の性能設計のうち国土交通大臣の個別認定による安全検証を行った。

この記述は不適当です。

全館避難安全検証では、建物内にいる人が火災時に安全に建物の外へ避難できるかを、部屋の大きさ、間仕切り、避難経路、出口などをもとに確認します。

特に国土交通大臣の個別認定による方法は、一般的な計算方法では扱いにくい計画について、詳しい検討や性能評価を行えるため、設計の自由度を高められる場合があります。

しかし、その認定は具体的な建築計画を前提としています。そのため、認定後にテナントの入れ替えによって間仕切りや避難経路などを変更すると、避難安全性能の再確認が必要になります。ルートCと呼ばれる大臣認定では、計画変更のたびに認定手続が必要となる場合があり、あらかじめ将来の変更条件まで検証して認定を受けるなどの特別な対応をしない限り、区画変更を短期間で容易に行える仕組みではありません。

したがって、「短期間で容易にテナントの入れ替えや区画変更ができるように個別認定を採用した」とする考え方が適切ではありません。

選択肢2. 劇場において、エントランスホールから客席までのアプローチを十分に確保したうえで、段階的に暗くし、暗さに目が慣れるのを早めるため、客席空間は赤色を基調とした内装とした。

この記述は適当です。

明るい場所から急に暗い場所へ入ると、すぐには周囲が見えにくくなります。目が暗さに慣れていくことを暗順応といいます。

そのため、明るいエントランスホールから暗い客席へ向かう途中を段階的に暗くすると、急激な明るさの変化を避けることができます。

また、暗くなるにつれて、人の目は赤色よりも青や青緑色を明るく感じるようになり、赤色は相対的に暗く見えます。これはプルキンエ現象と呼ばれます。劇場の客席を赤色系の内装とすることは、暗い客席空間への移行に配慮した方法の一つです。

したがって、アプローチを段階的に暗くし、客席を赤色基調とする計画は適切です。

選択肢3. 百貨店において、駐車場の適正利用を図るため、駐車場内の一般駐車スペースと区別がつくように車椅子使用者用駐車スペースの路面を青色に塗装してゾーン分けを行った。

この記述は適当です。

車椅子使用者用駐車スペースは、車椅子から自動車へ乗り移るための広いスペースが必要な人が利用する場所です。

一般の駐車スペースと見分けにくいと、必要のない人が誤って駐車する原因になります。そのため、床面を青色などで塗装し、一般の区画とはっきり区別する方法が用いられています。

国土交通省の資料でも、車椅子使用者用駐車施設の不適正利用を防ぐ取組として、床面全体を青色に塗装した事例が紹介されています。福島県でも、青色のカラー塗装によって一般の駐車施設と区別しやすくする取組を行っています。

したがって、この計画は適切です。

選択肢4. 高層事務所ビルにおいて、ビル風対策のため、建築物の外壁の出隅部分を曲面にするほか、クスノキやシラカシ等の常緑樹の高木を建築物の外周部に植栽した。

この記述は適当です。

高層建築物の周囲では、上空の強い風が建物に当たり、地上へ吹き下ろしたり、建物の角で風が強くなったりすることがあります。これがビル風です。

建物の角を鋭い形にせず曲面にすると、角の部分で急に風向きが変わることを抑え、周囲の強風をやわらげる効果が期待できます。

また、建物の周囲に常緑樹を植えることも防風対策として有効です。港区のビル風対策の手引きでは、防風植栽には枝葉の密な常緑樹が適するとされ、樹種の例としてカシ類やクスノキなどが挙げられています。シラカシやクスノキは、実際にビル風対策の植栽として検討されている樹種です。

したがって、建物の形状と植栽の両方でビル風を軽減する計画は適切です。

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