一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問88 (学科4(構造) 問18)
問題文
鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
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問題
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一級建築士試験 令和8年(2026年) 問88(学科4(構造) 問18) (訂正依頼・報告はこちら)
鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 角形鋼管を用いた柱は、横座屈が生じるおそれがないので、材長にかかわらず、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値にすることができる。
- 骨組の塑性変形能力を確保するために定められているH形鋼(炭素鋼)の梁の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが小さい。
- 鋼材断面の幅厚比の規定は、局部座屈防止のために設けられたものであり、鋼材の降伏点に影響される。
- 柱梁接合部パネルは、大地震時において、接合される梁や柱より早期に降伏しても、一般に、骨組の剛性は直ちに低下しない。
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この過去問の解説 (1件)
01
最も不適当なのは、「骨組の塑性変形能力を確保するために定められているH形鋼(炭素鋼)の梁の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが小さい。」という記述です。
幅厚比とは、鋼板の幅を厚さで割った値です。この値が大きすぎると、部材全体が十分に変形する前に、板の一部分が局部的に座屈しやすくなります。
H形鋼梁では、塑性変形能力を確保するための幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが大きく設定されています。例えば400N/mm2級のH形鋼梁では、代表的な基準値としてフランジ9、ウェブ60などが示されています。したがって、「ウェブのほうが小さい」とする大小関係が逆です。
この記述は適当です。
H形鋼のような開いた断面の梁では、曲げを受けたときに、横方向へ移動すると同時にねじれる「横座屈」が問題になります。そのため、横補剛の間隔などによって許容曲げ応力度が小さくなる場合があります。
一方、角形鋼管は閉じた断面であり、横座屈を生じるおそれがないものとして扱われます。そのため、曲げについては材長による横座屈の低減を考える必要がなく、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値にできます。同じ内容は、一級建築士試験でも角形鋼管の基本的な性質として扱われています。
なお、柱として圧縮力も同時に受ける場合には、別に圧縮力や曲げと圧縮の組合せについて安全性を確認する必要があります。
この記述は不適当です。
実際の大小関係は逆で、H形鋼梁の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが大きくなります。
幅厚比は、
幅厚比=板の幅/板の厚さ
で表します。値が大きいほど、幅に対して板が薄いことを意味し、局部座屈が起こりやすくなります。
H形鋼では、フランジはウェブから外側へ張り出した形になっているため、局部座屈に対する制限が比較的厳しくなります。一方、ウェブは上下をフランジに挟まれているため、フランジより大きな幅厚比まで認められます。
例えば、400N/mm2級の梁では、代表的な幅厚比の基準値として、
フランジは9程度
ウェブは60程度
というように、ウェブのほうが大きな値となっています。
したがって、「ウェブのほうが小さい」とした部分が誤りです。
この記述は適当です。
幅厚比の規定は、フランジやウェブなどの薄い板部分が、部材全体の性能を十分に発揮する前に局部座屈することを防ぐために設けられています。
また、幅厚比の上限値は鋼材の強さにも関係します。
一般に、降伏点が高い鋼材は大きな応力度まで弾性状態を保ちますが、その分、局部座屈が先に起こらないようにする必要があります。そのため、強度の高い鋼材ほど幅厚比の上限値は厳しくなり、小さな値が求められる傾向があります。
実際の基準でも、400N/mm2級より490N/mm2級の鋼材のほうが、H形鋼のフランジやウェブの幅厚比の上限値は小さく設定されています。
したがって、幅厚比の規定が局部座屈を防ぐためのものであり、鋼材の降伏点の影響を受けるという説明は適切です
この記述は適当です。
柱梁接合部パネルとは、柱と梁が交わる部分にあるパネル状の部分です。地震時には、この部分に大きなせん断力が作用します。
柱梁接合部パネルは、柱や梁より先に降伏することがありますが、降伏したからといって、その瞬間に力を負担できなくなるわけではありません。鋼材には降伏後も耐力を保ちながら塑性変形する性質があり、接合部パネルも塑性変形によって地震のエネルギーを吸収できます。
そのため、接合部パネルが早期に降伏しても、骨組全体の剛性が直ちに大きく失われるわけではありません。接合部パネルは、地震時に大きなせん断力を受け、塑性変形によって多くのエネルギーを吸収できる部分であることが知られています。
ただし、接合部パネルの変形が進めば骨組全体の変形にも影響するため、剛性や耐力、変形能力を適切に評価して設計する必要があります。
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