一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問86 (学科4(構造) 問16)

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問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問86(学科4(構造) 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

鉄骨構造の接合部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 溶接接合において、溶接部の強度を低下させないために、入熱量及びパス間温度が規定値より小さくなるように管理した。
  • 露出形式柱脚において、所定の構造計算を行わなかったので、アンカーボルトの基礎に対する定着長さをアンカーボルトの径の15倍とした。
  • 高力ボルト摩擦接合部において、2面摩擦接合2本締めの許容せん断耐力を、同一径の1面摩擦接合4本締めの場合と同じ値とした。
  • 高力ボルト摩擦接合部において、すべり耐力以下の繰返し応力に対しては、ボルト張力の低下や摩擦面の状態の変化を考慮しなかった。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も不適当なのは、「露出形式柱脚において、所定の構造計算を行わなかったので、アンカーボルトの基礎に対する定着長さをアンカーボルトの径の15倍とした。」という記述です。

鉄骨造の露出形式柱脚について、所定の構造計算を行わない場合、アンカーボルトの基礎に対する定着長さは、原則としてアンカーボルトの径の20倍以上とする必要があります。

さらに、アンカーボルトの先端をかぎ状に折り曲げるか、定着金物を設けることが求められます。

したがって、定着長さを15倍とした点が不適当です。

選択肢1. 溶接接合において、溶接部の強度を低下させないために、入熱量及びパス間温度が規定値より小さくなるように管理した。

この記述は適当です。

溶接では、鋼材を加熱して接合するため、どの程度の熱を加えるかが溶接部の性能に影響します。

「入熱量」は、溶接するときに材料へ加えられる熱の量です。

「パス間温度」は、何回かに分けて溶接するとき、次の溶接を始める前の溶接部の温度です。

入熱量が大きすぎたり、パス間温度が高すぎたりすると、溶接部の冷却が遅くなり、溶接金属の強度や靱性が低下することがあります。

そのため、使用する鋼材や溶接材料などに応じて定められた上限値を超えないように管理します。

日本溶接協会の資料でも、入熱量やパス間温度が高くなると溶接金属の強度が低下することが示されています。

したがって、溶接部の性能を確保するために、入熱量とパス間温度を規定値以下となるよう管理する考え方は適切です。

選択肢2. 露出形式柱脚において、所定の構造計算を行わなかったので、アンカーボルトの基礎に対する定着長さをアンカーボルトの径の15倍とした。

この記述は不適当です。

露出形式柱脚は、鉄骨柱の下端にベースプレートを設け、アンカーボルトによって基礎に固定する形式です。

建設省告示第756号では、所定の構造計算によらない露出形式柱脚について、アンカーボルトの基礎への定着長さを、アンカーボルト径の20倍以上、とすることを原則としています。

さらに、アンカーボルトの先端について、「かぎ状に折り曲げる」または「定着金物を設ける」ことも求められます。

たとえば、アンカーボルトの径をdとすると、必要な定着長さは20d以上です。

したがって、15dでは不足します。

なお、アンカーボルトの付着力を考慮し、アンカーボルトの抜け出しやコンクリートの破壊が生じないことを別途確かめた場合には例外がありますが、この選択肢ではそのような条件は示されていません。

選択肢3. 高力ボルト摩擦接合部において、2面摩擦接合2本締めの許容せん断耐力を、同一径の1面摩擦接合4本締めの場合と同じ値とした。

この記述は適当です。

高力ボルト摩擦接合では、高力ボルトで鋼板を強く締め付け、その接触面に生じる摩擦力によって力を伝えます。

許容せん断耐力は、ボルトの本数だけでなく、摩擦面の数にも比例します。

同じ径・同じ種類の高力ボルトで比較すると、

2面摩擦接合2本締めでは、

2面×2本=4

となります。

一方、1面摩擦接合4本締めでは、

1面×4本=4

となります。

したがって、両者の許容せん断耐力は同じになります。

高力ボルト協会でも、摩擦接合の許容せん断力は、ボルト1本・摩擦面1面を基準として扱うことが示されています。

ここで、2面摩擦接合だから「すべり係数」が2倍になるわけではありません。すべり係数そのものではなく、摩擦面の数が耐力に反映されます。

選択肢4. 高力ボルト摩擦接合部において、すべり耐力以下の繰返し応力に対しては、ボルト張力の低下や摩擦面の状態の変化を考慮しなかった。

この記述は適当です。

高力ボルト摩擦接合では、高力ボルトを強く締め付けることで鋼板同士を密着させ、その摩擦力で外力を伝えます。

作用する力がすべり耐力以下であれば、接合面にすべりは生じません。

そのため、一般に、すべり耐力以下の繰返し応力については、

・ボルト張力の低下

・摩擦面の状態の変化

を考慮する必要はありません。

つまり、摩擦面がすべらない範囲で力が繰り返し作用している限り、摩擦接合としての状態は基本的に保たれると考えます。

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