一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問85 (学科4(構造) 問15)
問題文
鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
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問題
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一級建築士試験 令和8年(2026年) 問85(学科4(構造) 問15) (訂正依頼・報告はこちら)
鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 多数回の繰返し応力を受ける梁フランジを建築構造用圧延鋼材SN400 Bから同一断面のSN490 Bに変更しても、継手などの形式及び総繰返し数が同じであれば、許容疲労強さは変わらない。
- 柱を建築構造用圧延鋼材SN400 Bから同一断面のSN490 Bに変更しても、細長比がSN400 Bの限界細長比より大きければ、許容圧縮応力度は変わらない。
- 建築構造用圧延鋼材SN490 Bの板厚を25mmから50mmに変更しても、許容引張応力度は変わらない。
- 大スパンの梁部材を建築構造用圧延鋼材SN400 Bから同一断面のSN490 Bに変更しても、鉛直荷重による梁の弾性たわみは変わらない。
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この過去問の解説 (1件)
01
最も不適当なのは、
「建築構造用圧延鋼材SN490Bの板厚を25mmから50mmに変更しても、許容引張応力度は変わらない。」
です。
SN490Bは、板厚が40mm以下の場合と40mmを超える場合とで、基準強度Fが異なります。
板厚25mmでは、
F=325N/mm²
ですが、板厚50mmでは、
F=295N/mm²
となります。したがって、許容引張応力度も小さくなります。建築基準法施行令第90条では、鋼材の長期許容引張応力度はF/1.5とされています。
この記述は適当です。
疲労とは、比較的小さな力でも、何度も繰り返し作用することで鋼材などにひび割れが生じ、最終的に破断する現象です。
疲労強さは、単純に鋼材の降伏点が高いほど大きくなるわけではありません。
特に溶接部や継手部では、
・継手の形式
・応力の変動幅
・繰返し回数
・応力が集中する形状
などの影響が大きくなります。
国土交通省の資料でも、溶接継手部の疲労強度は、使用する鋼材の静的な強度にはほとんど関係せず、継手形式などの影響が大きいことが示されています。
したがって、同じ断面で、継手などの形式や総繰返し数などの条件も同じであれば、SN400BをSN490Bに変更しただけでは許容疲労強さは変わりません。
この記述は適当です。
細長い柱に圧縮力を加えると、材料そのものがつぶれる前に、柱が横へ曲がって座屈することがあります。
柱の細長比が限界細長比より大きい範囲では、許容圧縮応力度は主に座屈によって決まり、鋼材の基準強度Fを高くしても、その効果が現れなくなります。
SN490BはSN400Bより基準強度が高いため限界細長比は小さくなります。
そのため、細長比がSN400Bの限界細長比よりも大きければ、SN400BでもSN490Bでも、どちらも座屈によって許容圧縮応力度が決まる範囲になります。
この範囲では、同一断面なら許容圧縮応力度は同じになります。
建築技術教育普及センターの構造設計に関する資料でも、限界細長比を超える場合の許容圧縮応力度について、細長比と限界細長比を用いた座屈の式が示されています。
この記述は不適当です。
SN490Bは、板厚によって基準強度が変わります。
板厚25mmは40mm以下なので、
F=325N/mm²
です。
一方、板厚50mmは40mmを超えるので、
F=295N/mm²
です。
鋼材の長期許容引張応力度は、
F/1.5
で求めます。
したがって、板厚25mmの場合は、
325÷1.5≒217N/mm²
となります。
板厚50mmの場合は、
295÷1.5≒197N/mm²
となります。
また、短期許容引張応力度も、325N/mm²から295N/mm²へ変わります。
したがって、
板厚25mmから50mmにすると、許容引張応力度は小さくなります。
「変わらない」とする点が誤りです。
この記述は適当です。
梁の弾性たわみは、主に、
・荷重
・梁の長さ
・ヤング係数E
・断面二次モーメントI
によって決まります。
同じ断面の梁であれば、断面二次モーメントIは同じです。
また、SN400BとSN490Bでは強度は異なりますが、鋼材としてのヤング係数Eは基本的に同じ値を用います。構造設計資料でも鋼材のヤング係数として2.05×10⁵N/mm²が用いられています。
したがって、
SN400BをSN490Bに変更しても、同一断面なら弾性たわみは変わりません。
SN490Bにすると、降伏しにくくすることはできますが、弾性範囲での「硬さ」が大きくなるわけではありません。
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