一級建築士 過去問
令和8年(2026年)
問32 (学科2(環境・設備) 問12)

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問題

一級建築士試験 令和8年(2026年) 問32(学科2(環境・設備) 問12) (訂正依頼・報告はこちら)

図は、事務所ビルの事務室での空気調和・換気設備の略図である。この図における建築設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
問題文の画像
  • 省エネルギー化を図るため、温度センサーT①で計測した温度が設定値となるように、VAVユニットの給気風量制御を行った。
  • 事務室内の温度調整をするため、温度センサーT②で計測した温度が設定値となるように、冷温水コイルの流量制御を行った。
  • 事務室内の湿度調整をするため、温湿度センサーTH①で計測した湿度が設定値となるように、加湿器の制御を行った。
  • 全熱交換器を用いずに外気を直接利用するバイパス運転を行うため、温湿度センサーTH②と温湿度センサーTH③で計測した温度・湿度を用いて、ダンパー①とダンパー②の開閉制御を行った。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も不適当なのは、「全熱交換器を用いずに外気を直接利用するバイパス運転を行うため、温湿度センサーTH②と温湿度センサーTH③で計測した温度・湿度を用いて、ダンパー①とダンパー②の開閉制御を行った。」です。

図では、各センサーは次の位置にあります。

T①:事務室内
T②:給気ダクト
TH①:事務室から戻ってきた還気
TH②:全熱交換器を通った後の排気
TH③:全熱交換器に入る前の外気

外気をそのまま利用するバイパス運転を行うかどうかは、外気と室内側の空気の状態を比べて判断します。そのため、比較するのは基本的に「外気のTH③」と「還気のTH①」です。

TH②は全熱交換器を通過した後の排気を測っているため、室内の状態を比較するためのセンサーとしては適していません。図のセンサー位置もこの関係になっています。

選択肢1. 省エネルギー化を図るため、温度センサーT①で計測した温度が設定値となるように、VAVユニットの給気風量制御を行った。

この記述は適当です。

T①は、図では事務室内に設けられた温度センサーです。

VAVは「Variable Air Volume」の略で、室内へ送る空気の量を変える装置です。

たとえば冷房中に室温が設定温度より高ければ、VAVユニットから送る冷たい空気の量を増やします。反対に、設定温度に近づけば風量を減らします。

このように、必要な分だけ風量を変えることで室温を調整するとともに、送風に使うエネルギーを減らすことができます。

国土交通省の公共建築工事標準仕様書でも、VAV制御は室内温度が設定値となるように要求風量を計算し、VAVの吹出風量を制御する方式とされています。

選択肢2. 事務室内の温度調整をするため、温度センサーT②で計測した温度が設定値となるように、冷温水コイルの流量制御を行った。

この記述は適当です。

T②は、冷温水コイルなどで空調された後の給気の温度を測る位置にあります。

冷温水コイルは、コイルの中に冷水や温水を流して、空気を冷やしたり暖めたりする設備です。

T②で測った給気温度が設定値より高い、または低い場合には、冷温水コイルを流れる水の量を変えて、給気温度を調整します。

国土交通省の公共建築工事標準仕様書でも、「給気温度が設定値となるように、冷温水制御弁にて冷温水量を制御する」方式が示されています。

この給気温度の調整と、T①によるVAVの風量調整を組み合わせることで、事務室内の温度を適切に保ちます。

 

選択肢3. 事務室内の湿度調整をするため、温湿度センサーTH①で計測した湿度が設定値となるように、加湿器の制御を行った。

この記述は適当です。

TH①は、事務室から空調機へ戻る還気の温度と湿度を測るセンサーです。

還気は、事務室内を通った後の空気なので、その湿度は事務室内の湿度をほぼ反映しています。

そのため、TH①で測った湿度が設定値より低い場合には加湿器を働かせ、室内が乾燥しすぎないように調整できます。

国土交通省の公共建築工事標準仕様書でも、室内または還気の湿度が低い場合に、設定値となるよう加湿器を制御する方式が示されています。

選択肢4. 全熱交換器を用いずに外気を直接利用するバイパス運転を行うため、温湿度センサーTH②と温湿度センサーTH③で計測した温度・湿度を用いて、ダンパー①とダンパー②の開閉制御を行った。

この記述は不適当です。

外気冷房などのバイパス運転では、外の空気が室内の冷房に利用できる状態かどうかを判断します。

そのためには、室内から戻ってきた空気と外気を比較する必要があります。

この図では、

TH①:還気の温度・湿度

TH③:外気の温度・湿度

を測っています。

この2つの情報から温度や湿度、比エンタルピーなどを比較して、外気をそのまま取り入れたほうが省エネルギーになる場合には、全熱交換器を通さないバイパス運転を行います。

国土交通省の公共建築工事標準仕様書でも、外気冷房は「外気と室内(還気)の熱量などを比較」して判断するとされています。 また、空調制御の技術資料でも、還気と外気の温湿度からそれぞれのエンタルピーを求めて、外気冷房の可否を判断する方法が示されています。

一方、TH②は全熱交換器を通過した後、建物の外へ捨てる排気の温度・湿度を測っています。

この空気は全熱交換器ですでに熱や湿気を交換した後なので、室内の状態をそのまま表しているわけではありません。

したがって、バイパス運転を判断するために使う組合せは、TH②とTH③ではなく、基本的にTH①とTH③です。

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