一級建築士 過去問
令和7年(2025年)
問95 (学科4(構造) 問25)

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問題

一級建築士試験 令和7年(2025年) 問95(学科4(構造) 問25) (訂正依頼・報告はこちら)

建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 鉄筋コンクリート造の腰壁付き梁の剛性は、腰壁と柱との間に完全スリットを設けた場合であっても、腰壁の影響を考慮する必要がある。
  • 保有水平耐力は、建築物の一部又は全体が地震力の作用によって崩壊形を形成する場合において、各階の柱、耐力壁及び筋かいが負担する水平せん断力の和として求められる値である。
  • 鉄骨造の筋かい付き架構の構造特性係数DSは、筋かいが所定の条件を満足する場合、柱及び梁の部材群の種別が同一で筋かいのない架構の構造特性係数DSに比べて、小さくすることができる。
  • 各階の必要保有水平耐力の算定において、ある階の剛性率が所定の数値未満の場合、全ての階ではなく、当該階のみ必要保有水平耐力を割増しすればよい。

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この過去問の解説 (2件)

01

建築物の耐震設計に関する問題です。

選択肢1. 鉄筋コンクリート造の腰壁付き梁の剛性は、腰壁と柱との間に完全スリットを設けた場合であっても、腰壁の影響を考慮する必要がある。

正しいです。

腰壁と柱の間にスリットを設けた場合、腰壁と柱は縁が切れますが、腰壁と梁とは縁が切れません。

よって、梁の剛性に関しては腰壁の影響を考慮しなければなりません。

選択肢2. 保有水平耐力は、建築物の一部又は全体が地震力の作用によって崩壊形を形成する場合において、各階の柱、耐力壁及び筋かいが負担する水平せん断力の和として求められる値である。

正しいです。

保有水平耐力は柱・耐力壁・筋交いが負担する水平せん断力の和として求められます。

選択肢3. 鉄骨造の筋かい付き架構の構造特性係数DSは、筋かいが所定の条件を満足する場合、柱及び梁の部材群の種別が同一で筋かいのない架構の構造特性係数DSに比べて、小さくすることができる。

誤りです。

構造特性係数Dsは靭性が高いほど小さくすることができます。

筋交いがあるものより、筋交いがないもののほうが靭性は高くなり構造特性係数は小さくすることができます。

選択肢4. 各階の必要保有水平耐力の算定において、ある階の剛性率が所定の数値未満の場合、全ての階ではなく、当該階のみ必要保有水平耐力を割増しすればよい。

正しいです。

必要保有水平耐力は所定の数値を満たさない階がある場合、その階の耐力を割り増しし所定の数値を満たせれば良いです。

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02

この問題で覚えておくポイントは、保有水平耐力・構造特性係数(DS)・剛性率の考え方です。

特に、構造特性係数(DS)は建物の変形性能やエネルギー吸収性能を表す係数であり、筋かい付き架構だからといって必ず小さくできるわけではありません。 

むしろ、筋かいが先に座屈・破断するような架構は変形性能が低くなるため、DSを小さくすることはできません。

つまり、DSの意味と筋かい付き架構の特徴を理解しているかどうかが正解を判断するポイントです。

では問題をみてみましょう。
 

選択肢1. 鉄筋コンクリート造の腰壁付き梁の剛性は、腰壁と柱との間に完全スリットを設けた場合であっても、腰壁の影響を考慮する必要がある。

鉄筋コンクリート造の腰壁付き梁では、腰壁は梁の剛性を高める働きをします。腰壁と柱の間に完全スリットを設けることで柱への影響は抑えられますが、腰壁は梁と一体で作用するため、梁の剛性には依然として影響を及ぼします。 したがって、腰壁の影響を考慮する必要があるという記述は正しいです。
 

選択肢2. 保有水平耐力は、建築物の一部又は全体が地震力の作用によって崩壊形を形成する場合において、各階の柱、耐力壁及び筋かいが負担する水平せん断力の和として求められる値である。

保有水平耐力とは、建築物が大地震時に崩壊形を形成するまで耐えられる最大の水平耐力です。

これは、崩壊形に達した際に各階の柱・耐力壁・筋かいなどが負担する水平せん断力の合計として求められます。

そのため、この記述は適切です。
 

選択肢3. 鉄骨造の筋かい付き架構の構造特性係数DSは、筋かいが所定の条件を満足する場合、柱及び梁の部材群の種別が同一で筋かいのない架構の構造特性係数DSに比べて、小さくすることができる。

構造特性係数(DS)は、建物の塑性変形能力(粘り強さ)を評価する係数です。鉄骨造の筋かい付き架構では、筋かいが地震時に座屈や破断を起こしやすく、ラーメン架構のみの場合に比べて変形性能が低くなることがあります。

そのため、筋かい付き架構だからといって、筋かいのない架構よりDSを小さくできるとは限りません。 むしろ、一般には筋かい付き架構のほうがDSは同等または大きく設定されるため、この記述は誤りです。

選択肢4. 各階の必要保有水平耐力の算定において、ある階の剛性率が所定の数値未満の場合、全ての階ではなく、当該階のみ必要保有水平耐力を割増しすればよい。

必要保有水平耐力の算定では、剛性率が基準値未満の階は、変形が集中しやすい「剛性の弱い階」と判断されます。

この場合は、建物全体ではなく、剛性率が不足している当該階のみ必要保有水平耐力を割り増して設計します。

したがって、この記述は正しいです。

まとめ

耐震設計では、保有水平耐力・構造特性係数(DS)・剛性率は頻出テーマです。特にDSは「小さいほど有利な係数」ではなく、建物の変形性能に応じて決まる係数であることを理解しておきましょう。また、腰壁が梁の剛性に与える影響や、剛性率不足時は当該階のみ耐力を割り増すことも、一級建築士試験で繰り返し問われる重要事項です。
 

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